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  • 【Illustrator】1つのパスのアンカーポイント上限数は?

    【Illustrator】1つのパスのアンカーポイント上限数は?

    Illustratorの1本のパス(オブジェクト)にはコントロールポイント数に上限があります。

    1本のオープンパスのコントロールポイント上限数は、

    「32000ポイント」

    これを超えることは基本的に出来ません。

    例えば、2本のパスを「連結」しようとしたとき、連結後のアンカーポイント総数が32000ポイントを超えるようであれば連結処理はされません。連結しようとしてできない場合は、アンカーポイント数を疑ってみてください。(ポイント数は情報パネルの「オブジェクト」で確認可能)

    ただし「複合パス」は1つの複合パスオブジェクトで32000ポイント超えることが可能です。

    2つ以上のオブジェクトの集合体という扱いのため、見た目としては1つのオブジェクトのように見えますが実態は複数のオブジェクトがグループ化されているような状態です。複数オブジェクトのアンカーポイント総数が表示されるため、32000ポイントを超えていても問題ないのです。ただし1つ1つは32000ポイント以下のオブジェクトである必要はあります。

    もう一つ例外があります。

    32000ポイントを持つオープンパスに「アンカーポイントの追加」をペンツールでしていく方法です。情報パネルでは32000ポイント以上が1つのパスにある表示になるのですが、これは限定的なものであり、一度保存して次に同じファイルを開いた時には32000ポイント目と32001ポイント目が分割されて2つのオブジェクトになっています。塗り色や線色は全て破棄されている状態となります。

    もしファイルを開いた時にこの状態になっていたら、何らかの理由で32000ポイントを超えていたオブジェクトがあったという事になります。適宜分割して32000ポイント以内に収めるように修正しましょう。

    さらに例外があります。

    Illustrator以外にアプリで保存したベクターオブジェクトをIllustratorに読み込んだ時です。

    320000ポイントという上限はあくまでもIllustratorの上限値ですので、例えばCADや他のベクターアプリではこの上限値より多くのポイントを持たせることが可能なものもあります。それらで作成されたファイルを読み込んだ際には、一時的に32000ポイントを超えるオブジェクトがIllustrator上に表示されますが、これも一度保存して開き直した際には上記と同じく32000ポイントのところで分割されます。

    *Illustrator以外で作成された32000ポイント以上のオブジェクトは正常に読み込まれない場合もあります。

    ポイント数の上限はこの記事を制作した際の上限です(Illustrator CC2023)

    今後、増える可能性もあります。

  • 【Illustrator】グラフ設定の「グラフの幅」と「各項目の幅」をわかりやすく解説

    【Illustrator】グラフ設定の「グラフの幅」と「各項目の幅」をわかりやすく解説

    Illustratorの「グラフ」機能は上手く使えばグラフィカルな棒グラフなどを簡単に作成できるが、使い方が今ひとつわかりにくい。中でも見た目に直結する「グラフの幅」と「各項目の幅」の設定は特にわかりにくいため、本記事では重点的にこの2点だけを解説する。

    本記事では「棒グラフ」を例にして解説するが、基本的にはどのグラフでも考え方は変わらないので、他のグラフでも応用は可能。

    「棒グラフの幅」と「各項目の幅」の数値を100%にした場合はどうなる?

    データを1つだけ入力して棒が1本だけの状態で「棒グラフの幅」と「各項目の幅」の値に【100%】を入力した場合はこうなる。

    グラフ全体が塗りつぶされるように、棒グラフが1本描画される(緑の部分)

    棒グラフの場合、「棒グラフの幅」も「各項目の幅」も横軸に対して適応される。1つしかない棒の幅を100%に設定しているため、グラフの幅いっぱいに棒が生成されている状態だ。縦軸はデータに入れた数値の最大値となっているため、縦横めいっぱいに棒が描画されたというわけだ。

    「棒グラフの幅」を50%にしてみよう

    まずは結果から。一気にグラフらしくなったでしょう。

    「棒グラフの幅」は文字通りグラフ上にある棒の「幅」を決める値(パーセンテージ)となる。重要なのは「何に対しての50%なのか?」ということ。もちろん基準となるのは「各項目の幅」だ。
    まずはこの事をしっかり覚えておこう。

    「棒グラフの幅」を決めるのは「各項目の幅」が基準

    上の棒グラフの場合「各項目の幅」100%に対して「棒グラフの幅」は50%となるため、左右に25%づつスペースができる(棒は自動的に横軸の中央に配置される仕様)。例えば、グラフ横軸の最大幅が10cmとすると、緑色の棒の幅は10cmの50%となるので5cmの棒が描画されるということだ。

    基本はこれだけ。これだけをしっかり覚えればあとは色々な数値を入れて試していけば、すぐに慣れるだろう。きちんと計算すればグラフの最大幅、各棒グラフの幅、棒と棒のスペースなどをセンチメートルなどの単位で導き出す事が可能。紙面上でグラフを入れるスペースが何cm×何cmと決まっていても大丈夫。きっちりとスペースに収まる綺麗なグラフが作成可能だ。

    「棒グラフの幅」「各項目の幅」を50%にした場合

    「棒グラフの幅」を決めるのは「各項目の幅」が基準のため、

    各項目の幅:横軸の最大幅の50%

    棒グラフの幅:「横軸の最大幅の50%」の50%=横軸全体の25%

    %だと感覚的にわかりにくい人は「cm(センチメートル)」や「mm(ミリメートル)」に置き換えて考えると良いかもしれない。

    例えば横軸の最大幅を「10cm」とした場合、

    各項目の幅:10cmの50%(半分)=5cm

    棒グラフの幅:5cmの50%(半分)=2.5cm

    というようになる。

    基準となるのが「各項目の幅」の値となるので、まずは「各項目の幅」を決めてからグラフの作成を始めると良い。

    各項目の幅は「横軸のうちどれくらいを棒グラフの面積にしようか?」という決め方でよい。もっというと、横軸の左右の余白をどれくらい(何%)取ろうか?ということだけだ。余白を20%空けたいのであれば「各項目の幅」に入れる数値は【80%】となる。

    入力データを2つにした場合は?

    次に入力データを2つにしたグラフを見てみよう。いままでは1つだったため棒も1本だったが、次からは2本のグラフを例にして解説していく。「棒グラフの幅」「各項目の幅」はともに100%の数値を入れたグラフが下のものだ。

    当たり前だがデータが2つのため、棒は2本となる。

    「各項目の幅」は100%のため、グラフ横軸をめいっぱいに使って描画される。

    各項目の幅」という言葉に騙されそうになるが、「各項目を合わせた幅」と言い換えるとわかりやすい。それぞれの棒の幅ではなく、棒をすべて合算したときの幅という意味だ。Adobeの日本語訳はたまに分かりづらい箇所がある。

    「棒グラフの幅」は1本ごとの棒の幅を決める数値なので、100%の場合は棒どうしがくっつく。

    「各項目の幅」に入力した数値を最大値としてデータの個数で均等割りした幅が棒1本ごとに割り当たる最大幅となる。「棒グラフの幅」はこの最大幅に対して何%を棒として描画するかという数値を入力する項目だ。

    例えば、
    「棒グラフの幅」:100%
    「各項目の幅」:75%
    と設定した際のグラフは以下のようになる。

    横軸の左右に余白ができた。
    棒2本を合わせた幅が「75%」となるため、左右に25%を2で割った「12.5%」の余白だできるということになる。75%の幅は横軸の中央に描画される仕様だ。このような仕様のため、先にも書いたように「各項目の幅」はグラフの左右につけたい「余白」を作るための数値と覚えても問題ない。

    例をもう一つ。
    「棒グラフの幅」:50%
    「各項目の幅」:100%
    と設定した際のグラフは以下のようになる。

    こちらも同じく左右に余白ができるが「各項目の幅」を75%にしたときと意味合いは全く違うので注意が必要だ。この場合の横軸左右にできる余白はデータの個数や「棒グラフの幅」に入力した値によって常に変動することとなる。作りたいグラフによってはこのやり方のほうが良い場合もあるが、慣れるまでは「各項目の幅」で横軸左右の余白を決めて、棒グラフの幅で棒の幅と棒どうしの余白を決めていくほうが混乱しないだろう。まずは「各項目の幅」を決めてから「棒グラフの幅」で調節していくという手順がわかりやすい。

    まとめ

    パーセントという単位では理解しにくいという人は、センチメートルやミリメートルなど直感的にわかりやすい単位で考えるとスッと理解できると思う。

    練習する場合、データに入れる数値は単純な整数にして「棒グラフの幅」と「各項目の幅」に入れる数値も50%や25%などわかりやすく、偶数で割り切れる数値にて試すとより理解がしやすい。

    最初にグラフツールで大きさを決める際も、縦横10cmなどの正方形で設定するとさらにわかりやすい。実際に各グラフの棒の幅を測れば、パーセントの感覚も掴めるだろう。

    グラフを制作する際に設定する順番は

    1. 「各項目の幅」で左右の余白サイズを決める
    2. 「棒グラフの幅」で棒の幅を調節する

    この順番で作業すると、混乱せずに希望のグラフが作れることだろう。

  • AdobeCC製品のバージョン一覧表[Photoshop,Illustrator,InDesign,Premiere Pro,Animate,After Effects]

    AdobeCC製品のバージョン一覧表[Photoshop,Illustrator,InDesign,Premiere Pro,Animate,After Effects]

    Adobe Creative Cloudは「Illustrator CC2022」などの製品名(アプリケーション名)と「Illustrator26.x」などのバージョン番号があります。両方とも一般的には「バージョン」と言う場合が多いので混乱することもしばしば。
    そこで主なAdobe CCアプリのバージョンと製品名を一覧表にしました(アルファベット順)
    アプリ名・バージョン番号に「いくつ足し引きすると変換できるか?」と言う数字も補足してあります。

    After Effects

    アプリ←→バージョン 変換数:3(2015以前は例外)

    アプリケーション名バージョン番号
    After Effects CC12.x
    After Effects CC201413.x
    After Effects CC201515.x
    After Effects CC201714.x
    After Effects CC201815.x
    After Effects CC201916.x
    After Effects CC202017.x
    After Effects CC202118.x
    After Effects CC202219.x

    Animate(旧Flash)

    アプリ←→バージョン 変換数:0(2017以前は例外)

    アプリケーション名バージョン番号
    Flash CC13.x
    Flash CC201414.x
    Flash/Animate CC201515.x
    Animate CC201716.x
    Animate CC201818.x
    Animate CC201919.x
    Animate CC202020.x
    Animate CC202121.x
    Animate CC202222.x

    Illustrator

    アプリ←→バージョン 変換数:4(2015以下は例外)

    アプリケーション名バージョン番号
    Illustrator CC18.x
    Illustrator CC201419.x
    Illustrator CC201520.x
    Illustrator CC201721.x
    Illustrator CC201822.x
    Illustrator CC201923.x
    Illustrator CC202024.x
    Illustrator CC202125.x
    Illustrator CC202226.x

    InDesign

    アプリ←→バージョン 変換数:5(2015以下は例外)

    アプリケーション名バージョン番号
    InDesign CC9.x
    InDesign CC201410.x
    InDesign CC201511.x
    InDesign CC201712.x
    InDesign CC201813.x
    InDesign CC201914.x
    InDesign CC202015.x
    InDesign CC202116.x
    InDesign CC202217.x

    Photoshop

    アプリ←→バージョン 変換数:1(2015以下は例外)

    アプリケーション名バージョン番号
    Photoshop CC14.x
    Photoshop CC201415.x
    Photoshop CC201516.x
    Photoshop CC201718.x
    Photoshop CC201819.x
    Photoshop CC201920.x
    Photoshop CC202021.x
    Photoshop CC202122.x
    Photoshop CC202223.x

    Premiere Pro

    アプリ←→バージョン 変換数:6(2015以下は例外)(2022以降バージョンとアプリ名同じ

    アプリケーション名バージョン番号
    Premiere Pro CC201711.x
    Premiere Pro CC201812.x
    Premiere Pro CC201913.x
    Premiere Pro CC202014.x
    Premiere Pro CC202115.x
    Premiere Pro CC202222.x
    アイキャッチ画像:AlicjaによるPixabayからの画像

  • iPadでイラストを書くならどのアプリ?Illustrator・Fresco・Procreate

    iPadでイラストを書くならどのアプリ?Illustrator・Fresco・Procreate

    筆者が実際に使用しているアプリを比較して、iPadでのお絵かきはどのアプリが向いているのかということを書いていきたい。
    使った事がないアプリも多々あるため、そのへんは他のサイトにお任せする。

    この記事で紹介するiPadアプリは3つ

    • Adobe IllustratorCC iPad版
    • Adobe Fresco
    • Procreate

    それぞれの特徴

    それぞれのアプリは特徴があり書く物によって使い分けるのが良いという結論にしかならない。これを使えば正解!なんてものは無い。

    ・Adobe Illustrator iPad版
    PC版Illustratorで使用するための素材作成にはベスト。
    ポスター等の挿絵、ライブペイント用の線画などIllustratorとの親和性は100%なので最終仕上げがPC版Illustratorであるなら、間違いなくiPad版Illustratorにメリットがある。
    データはAdobeクラウドドキュメントに保存されるため、PCとのデータやりとりがとても楽!
    ベクターイラストを書くならIllustratorが他の2つより使いやすい。
    ただし「絵を書く」という操作性は他の2つより劣るため書くための慣れは必要。

    ・Adobe Fresco
    IllustratorよりはProcreateに近いアプリ。ベクターも使えるが基本的にはラスターの描画が得意。
    ベクターだとペンシルと描画に少しの遅延が出る(iPadの性能やFrescoのバージョンにより差異はある)
    ProcreateよりはFrescoの方が水彩画などの絵画的な表現は上だと感じる。Adobe製品との相性もよいので、最終仕上げがPhotoshopを想定しているならFrescoが使いやすいだろう。
    Illustratorと同様にAdobeクラウドドキュメントにデータが保存されるためPhotoshopなどで開くのがとても早くて楽。
    慣れの問題はあるが「絵を書く」という事の操作性と書きやすさはProcreateの方が良いと筆者は感じる。

    ・Procreate
    イラストを書くならとても使いやすい(描きやすい)
    iPadで動作させる専用設計なだけあり軽快な動作をする上に、IllustratorやFrescoに比べて破格の安さという点がとても良い。Adobe製品は値段が高いのでまずはProcreateを使って「iPadで絵を書く」という事を体験するには、とても良いアプリだ。
    1つデメリットを上げるなら「1台のiPad内で完結させなければならない」という点。
    自分の書いたファイルをクラウドに保存するタイプのアプリではないため、ファイルは全てProcreateのアプリ内に保存される。書出しやデータの移動などは可能だが、基本的にはiPad内でProcreateだけを使って書き上げる事が前提となる。
    漫画などには向いていない。あくまでも一枚絵が得意なアプリだ。
    バージョンアップは頻繁に行われるので、今後の機能追加でより使いやすくなっていくだろう。クラウド保存にも対応するかもしれない。
    Procreateは「ガイド機能」が優秀だ。アイソメトリックや並行グリッド線などのガイドを作るのがとても楽。しかもガイドに沿って綺麗に線を書けるアシスト機能もある。これは他の2つには無い機能だ。

    結局どれを使えば良いの?

    • ベクターイラスト:Illustrator
    • ラスターイラスト:FrescoかProcreate
    • クラウド保存:IllustratorかFresco
    • 一枚絵:Procreate
    • 安いのがイイ:Procreate

    アプリよりも・・・

    アプリに悩むのは「どれが快適に書けるか」という疑問なのだが、正直に言うとアプリよりもiPadの性能のほうが快適さに対する比重は大きい。高性能大画面に勝る快適さは無い。
    執筆時点(2021年)のiPadラインナップなら間違いなくiPad pro 12.9インチがベスト。

    性能の面でも桁違い。M1チップが搭載されているiPadは他のiPadよりも数倍処理性能が高いため快適そのものだ。イラストの描画とは意外と処理能力を使うため、高性能であればあるほど良い。またiPad proは画面のリフレッシュレートが他のiPadより高いため描画の滑からさが違う。本当にiPadで快適に絵を書きたいなら、iPad proを買うのが一番の近道。絶対に損はしない。イラスト主体なら12.9インチがベスト。

    アイキャッチ画像:Kaoru YamaokaによるPixabayからの画像
  • [Illustrator]ライブペイントでアイソメイラストを塗り絵のように楽しく作る

    [Illustrator]ライブペイントでアイソメイラストを塗り絵のように楽しく作る

    Illustratorのライブペイント機能を使えば、塗り絵のように楽しくアイソメイラストを書ける。
    好きな色を好きなように塗り塗り。
    上手く塗るコツは、最初に使う色を3色決めてスウォッチに登録するだけ。
    もちろん3色以上もOK。

    • バージョン:IllustratorCC以上
    • iPad版Illustratorは不可(ライブペイント機能未実装)

    STEP1:ライブペイント用のグリッド線を作る

    アイソメトリックイラストに欠かせないグリッド線。
    大きく分けて、グリッド(マス目)がひし形か三角形の2パターンあり、ライブペイントで作る場合は三角形のグリッドを使う。ひし形だと縦線が塗れないからだ。

    すでにグリッド線の作り方を知っている人やテンプレートがある人は、ご自身のでOKなのでSTEP2へ進もう。
    テンプレートや作り方に自信が無い人は、当blogでグリッド線の簡単な作り方を解説しているので、下記を参考に。

    STEP2:スウォッチに使う色を登録しよう

    3色でOK。
    ・基本の色
    ・少し暗い色
    ・かなり暗い色

    アイソメトリックイラストは、必ず「3つの面」がつながって1つの立方体となる。
    作品のテイストにもよるが、一般的には上面がもっとも明るく、右面が暗い。左面はその中間。左上から光が差していることとなる。
    なので、上面を基本にして、少しくらい色とかなり暗い色の3色を作れば最低限OKだ。

    アートボード外の適当な場所に、3つの四角形を作って3色を決めよう。四角形の大きさは任意で。

    色を決めたらスウォッチに「新規カラーグループ」として登録しよう。これを登録することでライブペイントでの色塗りが劇的に楽になる。

    1. 着色した3つのオブジェクトを選択する
    2. スウォッチパネル下の「新規カラーグループ」ボタンを押す(フォルダのアイコン)
    3. 任意で名前を付けてOKボタンを押したらカラーブループ完成

    STEP3:アイソメ用のグリッドをライブペイント化しよう

    STEP1で用意作成したグリッド線をライブペイント用のオブジェクトに変換する。
    グリッド線が多い(マス目が細かい)と処理に時間がかかり、場合によってはIllustratorがフリーズしたり落ちたりするので、必ず保存してから作業しよう。
    あまりに多いとIllustratorが「複雑で時間かかるから保存をオススメ!」というメッセージが出るときもある。

    1. グリッド線を選択
    2. 線と塗の色を「なし」にする
    3. メニュー「オブジェクト」→「ライブペイント」→「作成」をクリック
      もしくは、ライブペイントツールでグリッド線のオブジェクトをクリック
    4. ライブペイント用のオブジェクト変換完了

    STEP4:好きなように楽しく着色

    最初はちょっと慣れが必要だけど、好きなように着色していけばよい。
    ただし、ライブペイントはIllustratorの機能の中でも重たい部類なのでこまめな保存をしながらの作業がオススメ。

    上面、左面、右面の「ひし形」を意識すると塗りやすい。ライブペイントのグリッドは三角形なので2つのエリアで1セットと覚えるのが良いだろう。

    最初は上面を着色して、ある程度の形が見えたら左面と右面を着色して立体感を出すのが楽だ。

    ライブペイントツールで楽に着色するヒント

    ・上下左右の矢印キーでスウォッチの色を選択する
    ライブペイントカーソルの上に出ている3色の四角は「選択されているスウォッチの色」とその左右の色を表示している。
    これを矢印キーの左右で変更可能。
    STEP2で作成した3色の色を矢印キーで切り替えながら着色するととても楽。
    上下キーはスウォッチのグループを変更可能。着色「なし」を選択すれば、間違って着色した部分を消せる。

    ・キーボードショートカットでスポイトツールを活用
    ライブペイントツール使用中にAltキーかOptionキーを押すことでスポイトツールに変わる。矢印キーでのスウォッチ切り替えと合わせて使うと色の選択が更に楽々。
    Windows:Altキー
    Mac:Optionキー

    ライブペイント塗り絵の例

    ライブペイントの詳しい機能はこちらの公式ヘルプをご覧下さい。

    より複雑な形状を作りたい。ライブペイントではなく自分で作図したい場合はこちらの記事が役に立つと思います。

  • [Illustrator]アイソメイラスト作成でシアー等の変形後に元の幅へ戻す拡大率

    [Illustrator]アイソメイラスト作成でシアー等の変形後に元の幅へ戻す拡大率

    アイソメトリックのイラストを書くとき、平面(正面図など)で書いた図形に縮小→シアー→回転と変形してアイソメトリックの形にすると元の幅より小さくなっている。縮小とシアーをかけているので当たり前なのだが、グリッド線に合わせて作図しているとこれがけっこう困る。手動で書いたオブジェクトと合わなくなるからだ。
    そこで、元の幅に戻す「拡大率」のご紹介。アクションに組み込むと作業が捗る。

    まずは注意事項

    この拡大率は全てのパターンで正確に元に戻る拡大率ではない。限りなく元の幅の近似値になる拡大率であることに注意が必要。
    例えば。
    元の幅=50mm
    拡大率適応後の幅=49.9999mm
    という具合になる場合がある。もちろん元の値に戻る場合も多数。
    単位が「ピクセル(px)」の場合に近似値となることが多い。

    これは元々の縮小率がルート(割切れない数値)に基づいていたり、ピクセルやミリメートル、ポイントなどの単位変換による誤差もある。さらに筆者は数学にあまり自信がないということも付け加えてご了承頂きたい。

    また、幅100%で高さ86.6%で縮小する変形方法の場合、この拡大率は使えないので注意。

    元に戻す拡大率は「141.4206%」

    アイソメトリックな形にする縮小→シアー→回転→拡大の手順。

    上面
    1. 拡大縮小:水平81.65% 垂直70.71%
    2. シアー:30度
    3. 回転:-30度
    4. 拡大縮小:縦横比を固定「141.4206%」
    左面
    1. 拡大縮小:水平81.65% 垂直70.71%
    2. シアー:-30度
    3. 回転:-30度
    4. 拡大縮小:縦横比を固定「141.4206%」
    右面
    1. 拡大縮小:水平81.65% 垂直70.71%
    2. シアー:30度
    3. 回転:30度
    4. 拡大縮小:縦横比を固定「141.4206%」

    上面の幅は元オブジェクト幅の2倍となり、左面と右面の幅を合計した数値となる。

    グリッド線を元にして手動で作図したオブジェクトと、正面図からシアー等で変形したオブジェクトを混在させながら作るときにとても重宝する。円形や複雑な形状のときは特に。
    上・左・右面用に各アクションを組んでおくと便利。アクションのパネル上では小数点第2位までの表示のため「141.42%」となるが、拡大縮小の入力時に「141.4206」としていれば大丈夫。

    一歩踏み込んで、こんな小技はどうでしょう?

    上面、左面、右面の各アクションに明るさの調整を加えると便利だ。
    アイソメトリックイラストは多くの場合、
    ・上面:明るい色(立体の基本的な色)
    ・左面:上面より10~30%ほど暗い色
    ・右面:上面より30~60%ほど暗い色
    という事が多い。
    つまり上面の色を基準にして左右を暗くすれば良いのだから、これをアクションに組み込むと作業が捗る。もちろん、作風によってはこの手法は使えないので作りたいものによって使い分けよう。

    ただし以下の手法はドキュメントのカラーモードが「CMYK」と「RGB」で別々のアクションを組む必要がある。カラーモードがCMYKの場合RGBの色調整のアクションは無視されてしまう。逆も同じ。
    真っ黒(RGB:0、K100%)の色には通用しないので注意。

    1. 色を変更したいオブジェクトを選択(左面か右面)
    2. メニューの「編集」→「カラーを編集」→「カラーバランス調整」
    3. RGBモード:RGB各値をマイナスで同じ数字。CMYKはKの%をプラスにする
      (画像例は20%暗く指定)

    イラスト全体を淡い感じに仕上げたい場合は、「カラーバランス調整」ではなく「カラーを編集」→「彩度調整」を使っても良い。この場合は一番濃い色の右面を基準に、上面が一番彩度が低くなるように調整しよう。

    最後にコーヒーはいかが?
    本文と少しだけ関係のある小ネタでちょっと一息。忙しい人は読まなくても大丈夫!

    アイソメトリック画像(イラスト)を作る手法は様々にある。大きく分けてIllustratorやPhotoshopなどの2Dで描く方法と、CADや3DCGソフトを使う3Dから作る手法。どちらも一長一短なのでどっちが良いというものでもない。どっちも良い。
    作りたい作品によって使い分けるのが良いだろう。簡単なイラストや手書きのテイストを重視したいなら2Dソフトで作り、複雑な構造や多数のオブジェクト、陰影のリアルさなどを表現したいなら3Dソフトが強い。
    さらにIllustratorだけをとっても様々な手法がある。
    効果の「3D 押し出しベベル」を使ったり、手動で書いたり、ライブペイントを使ったり。2Dソフトの中にはアイソメトリックを書くための専用補助ツールを搭載しているものもあり、選択に困るだろう。
    筆者も色々なソフト・アプリを試していはいるが、いまのところ正解は得ていない。
    ・2Dソフト→立体を作るのが時間がかかり、複雑な構造物は頭が混乱する
    ・3Dソフト→オブジェクトの作成、ライティング、レンダリングと全体的に時間がかかる
    いづれにせよ「書きたいもの」によって手法を使い分ける事が作業時間を減らしクオリティを上げることに繋がる。逆に言うと、色々な手法を試さないと自分の作風に最適なものは分からないということだ。
    ネット状にはこの記事を含めて様々なTIPSやソフト・アプリの紹介があるが、自分に合っていそうだなと思ったものはとりあえず試してみることをオススメする。

  • [Illustrator]パス1本だけでリピート機能を使い綺麗な円形幾何学模様の作り方

    [Illustrator]パス1本だけでリピート機能を使い綺麗な円形幾何学模様の作り方

    まずは完成図から。パス1本でこんなのが書けます。リピート機能「ラジアル」の裏技的な使い方。

    リピート機能はIllustratorCCバージョン2021から使える機能です。それ以下では使用できません。

    STEP1:直線を書く

    直線のパスを1本作る。長さ、線幅はお好みで。短すぎたり太すぎると見にくいので注意。

    ポイント
    • 線幅は1pt程度が見やすい
    • 長さは最終的な大きさの1/3~半分くらいがちょうど良い

    STEP2:リピート[ラジアル]を適用する

    STEP1で作成した直線を選択し、上部メニュー「オブジェクト」→「リピート」の「ラジアル」をクリックしてラジアルリピートを適用する。数値はデフォルトでOK。

    STEP3:リピートオプションの半径を「0」にする

    半径を「0」にした場合、STEP2の状態には戻れない為、不安であればSTEP2の状態のオブジェクトをコピペしてどこかに一時保存しておくと良い。

    リピートしたオブジェクトを選択状態のまま、「リピートオプション」の半径の値を「0」にする。単位はデフォルトのままで良い。

    ポイント
    • 半径の数字を「0」にする
    • STEP2の状態には戻らないのでコピペでSTEP2のオブジェクトを一時保存すると良い

    STEP4:リピートオブジェクトの半径の数字を増やす

    STEP3で「0」にした半径を適当な値まで増やす。半径の値は直線の長さにより変わるため、下の画像のように少し線が重なる程度まで数値を増やす。

    半径を「0」にしたときに、リピートする基準点が変わったため、リピート数はSTEP2と同じだがリピートされた結果が異なる。ここが裏技的な要素。

    試しにリピート数を「1」にしたのが下の画像↓ STEP2と青いガイド線の位置が違い基準点の位置が変わったのが分かる。

    STEP5:リピート数を増やす

    リピートオプションの「リピート数」を最大値の「100」にする。後で変更できるので100を入力しとくと分かりやすい。

    ポイント
    • リピート数は「100」を入力すればOK

    STEP6:半径とオブジェクトサイズを調節して好きな形に

    リピートオブジェクトの「半径」の値と、オブジェクトそのものの大きさを変更して好きな形と大きさに整えていく。まずは半径を小さくしてからオブジェクトの大きさを大きくする手順がオススメ。1度では良い形にならないため、続けて何回も半径と大きさを変えていく。「やり直し」は使わない。
    線幅を細くするとより精細な幾何学模様のイメージとなる。リピート数を変えても良い。

    ポイント
    • 「やり直し」は使わない
    • 半径→オブジェクトサイズ の順で繰り返し形を整える
    • 半径は内側の白い丸をドラックして変更可能
    • 縦横の比率は保ったまま拡縮する
    • 線幅を細くすると精細なイメージが強くなる
    • リピート数を減らすと隙間が多くなる

    STEP7:仕上げ

    線幅や色などを設定して仕上げをする。グラデーションは「円形」を使うと着色しやすい。思ったように着色できない場合は「分割・拡張」で全てをパスオブジェクトにしてからの着色しても良い。

    応用でこんなのも作れます↓(拡張後にブレンドツールを使用)

    直線以外でも色々な形状で試すと面白い。初期の形状が単純なほど仕上りは綺麗になるようだ。

  • 過去バージョンのIllustratorファイルを最新版にアップデートする方法。不明なエラー等の壊れかけファイルにも有効。

    過去バージョンのIllustratorファイルを最新版にアップデートする方法。不明なエラー等の壊れかけファイルにも有効。

    古いイラレのバージョンを最新版にアップデートする一般的な方法の1つは【別名で保存】から最新バージョンを指定して保存する方法。この記事ではこの他にもう1つご紹介。

    ここで注目したいのは壊れかけのファイルが直る可能性があるということ。古いバージョンのファイルは壊れる可能性が高く、完全に破損してファイルが開けなくなったら対処しようがない。

    「不明なエラーが発生しました」というエラーメッセージが出るファイルも救える可能性があるので頭の片隅に入れておくといざという時に慌てないはずだ。

    • CSシリーズなど古いバージョンに効果的
    • 動作が不安定な壊れかけのファイルが直る可能性あり
    • 近年のバージョンなら【別名で保存】が早くて楽

    ※以下の作業前には必ずファイルのバックアップを取っておきましょう。

    1:アップデートしたいファイルを最新版のIllustratorで開く

    古いバージョンのファイルを最新版で開くだけ。バージョン違いによる文字組みの崩れなどはそのままで次の手順へ。

    2:全選択→コピー

    1. すべてのロックを解除(レイヤー&オブジェクト)
    2. オブジェクトを全て選択
    3. コピー

    3:新規ファイルの作成

    バージョンアップ元のアートボードと同じ大きさで新規作成する。カラーモードやドキュメント設定も同じ方が良い。

    4:新規ファイルへペースト

    手順2でコピーしたオブジェクトをペースト。位置が元とズレている場合は調整する。

    レイヤーオプションの「コピー元のレイヤーにペースト」にチェックを入れると後々の編集がしやすくなる。

    コピー元のレイヤーにペースト

    5:最新バージョンで「保存」する

    任意のファイル名で新規保存をして、ファイルのバージョンアップ完成。この際に最新版ではなく任意のバージョンを選択しても可。

    補足事項

    筆者はIllustrator開発者ではないので確実な事は言えないが、新規ファイルにペーストした場合、古いファイルにあるエラーのような断片的なデータはコピーされないのではないかと予想している。(バイナリを見て検証した訳ではない)

    古い形式のコードをペースト時に新しいコードへ置換するか最適化されている可能性もある。もちろん全てのコードが最新版になるわけではない。例えば矩形などはプロパティ画面で表示される項目に違いがある。古いバージョンで作られた矩形を新バージョンにしても回転角度などは出てこない場合が多い。これは互換性に関わるものなので、全てが新しいオブジェクト形式に置き換わる訳ではない。

    この方法にてバージョンアップした場合は【別名で保存】からバージョンアップしたファイルより安定する事が多い。別名で保存はもしかするとただただ新しいバージョンで保存したことをヘッダーに記載しているだけかもしれない。
    「ペースト」という動作をすることで、オブジェクトを作図したこととなり余計なデータは削除されるのだろう。別名で保存の場合、エラーが出ている部分もそのまま保存しているように思う。

    データというものは段々と壊れていくもので、詳しく書くと長すぎるため割愛するが絶対に壊れないということはない。PCを使っていると使用していないファイルでもハードディスク上にある限り必ず影響を受けるからだ。古いファイルほど壊れやすいのはこのためで、長年ハードディスクにある事で様々な影響を受けてデータが壊れていく。

    もし、ファイルの動作が不安定と感じたら、この記事の方法でデータをリフレッシュするのも悪い選択ではない。もちろん、バージョンを新しくすることで文字組みが崩れるなどの弊害はでるが、それはファイルのバージョンアップしなくとも最新版のIllustratorを使うなら同じ事なので必要な作業だ。

    ファイルが壊れかけの場合、最新版のIllustratorでなくとも、同バージョンのIllustrator上でコピーペーストするだけでファイルが安定する事が多い。絶対ではないがやっておくに越したことはないだろう。壊れて開けなくなってしまったらどうしようもない。

    もし可能なら、Adobeクラウドドキュメントを使用することもオススメする。ローカル環境とは少し違って少しの制約もあるがファイル管理も安定感も高いだろう。なにより古いバージョンというのを気にしなくてよい。詳しくは別の記事にしてあるので興味ある人はご一読を。

  • Adobeクラウドドキュメントの大雑把なメリット・デメリットとちょっとしたレビュー

    Adobeクラウドドキュメントの大雑把なメリット・デメリットとちょっとしたレビュー

    Adobe IllustratorCCやPhotoshopCCはAdobeのクラウドサーバーから直接ファイルを保存・開くことができる機能「Adobeクラウドドキュメント」を大雑把に紹介するとともに、筆者が感じたメリット・デメリットを書く。使うのを悩んでいる人の参考になれば良いと思いつつ、結論から言うと使うことにデメリットは無いのでお試しのファイルでも良いからまずは使用してみることをオススメする。

    使用感が合わないならローカルで運用すれば良いだけなので、クラウドだからと言って肩肘張る必要はない。「ちょっと面白いフォルダに保存する」程度のことである。

    簡潔な紹介になるので、詳細な仕様などは各々調べて欲しい。

    • どこでもファイルが開けるのでいつでも作業が可能
    • ファイル共有で共同編集ができる
    • バージョン管理が楽
    • OSやデバイスを気にしなくて良い
    • 様々なアプリからファイルにアクセス可能で連携が面白い
    • オフラインでもほぼ大丈夫(通信しなくても作業は可能)
    • クラウドの容量に限りがある(追加料金が必要な可能性あり)
    • パケット通信量が増える(モバイル通信の場合)
    • 安定したネットワーク環境が望ましい
    • 詳細なファイルの内容がイマイチ分からない
    • バグやエラーが少しある(記事執筆時点では)
    • ブラウザとCreative Cloud Desktopで機能が違う
    • 保存しないでファイルと閉じることができない

    ファイルを保存/開くはローカルとあまり変わらない感覚

    ローカル環境で「どこのフォルダに保存するか」ということを選ぶのと同じ感覚で、保存先が「クラウド」になるだけだ。ファイルを開くのも同様。

    ファイルを開くの初回だけは少し時間がかかるが、2回目以降からは素早い(ネットワーク環境にもよるが)。初めて開くファイルはローカルにファイルをダウンロードしてから開いているようだ。そのダウンロード時間が少しかかる程度。2回目からはクラウド上のファイルと差分だけをやり取りしているのか初回より早いイメージ。いづれにせよ、ローカルにあるファイルを開くのと同じくらいの感覚でファイルを開けるのはありがたい。

    保存も同様。初回は少し時間がかかるが、2回目からは早い。場合によってはローカルより早いかもしれない。
    通信が無い場合は一時的にローカルに保存され、通信環境が復活したらファイルを自動的にアップロードする仕組みなので必ずしもネットワークを繋ぎっぱなしにしなくとも良いのは魅力だ。ただし、ネットワークが不安定な場合は注意が必要。ファイル転送途中で通信状況が悪いとエラーになったりファイルが破損する原因となるので不安定な場所などではいっそのことオフラインにて作業するのが良いだろう。

    ただし、重たいファイルは注意が必要。保存も開くことも時間がかかり動作が不安定になりがちなので、重たいファイルはローカルの運用が良いかもしれない。

    ファイルのバージョン管理が簡単安心!

    現状ではブラウザ画面でしか操作できないが、ファイルのバージョン管理がとても楽。自動生成というか保存するごとに履歴が残されており、いつでも過去のバージョンに戻すことが可能。
    また、重要なバージョンはラベルを付けて保護しておけるので管理も容易でわかりやすい。

    ブラウザだけではなく、Creative Cloud Desktopアプリ上でも操作できると更に便利なので今後のアップデートに期待したいところ。

    ファイルバージョン管理の例

    同じファイル名の保存にはひとクセあり

    同じファイル名をクラウド上に保存する場合、「上書き」とはならないので注意が必要だ。

    例えば、クラウド上に「TEST.psd」というファイルがあり、「別名保存」で「TEST.psd」をクラウドに保存するとしよう。
    ローカルに保存なら「上書きしますか?」というようなメッセージが出て、既存のファイルを書き換える動作となるが、クラウドドキュメントの場合は「別のファイルとして保存」される。上書きしますか?というようなメッセージはなく、クラウド上には「(1)」というような数字が自動的に付加されて別ファイルとして保存される。

    これはバージョン管理機能との兼ね合いでこうなっているのだろう。別名保存で同名ファイルに上書きは出来ない仕様なので注意が必要だ。上書きは「保存」から行うように徹底しよう。

    ファイルの詳細がよくわからない

    場合によっては重大事項。クラウドドキュメントに保存されているファイルの詳細な設定がよくわからないのだ。

    特にIllustratorを使う人は保存時に「ICCプロファイルを埋め込む」をON/OFFしている事だろう。プロファイルのある無しで結果がかなり違うのだが、この指定が無い。互換PDFのチェックもない。バージョンも不明。とにかく保存時の「詳細オプション」のようなものが無いので、保存形態がよくわからないのだ。

    予想だが、クラウドドキュメント形式はローカルとは違う状態で保存されているようだ。ICCプロファイルなどの環境による違いがあるような設定はそもそも保存されていないのかもしれない。純粋にIllustrator・Photoshopとしてのデータのみを内包しているのかも。あくまでも予想なので詳細は各々で調べてもらいたい。

    Adobeクラウド上から直接印刷データなどを入稿するのは避けたほうが良いだろうと思う。色味などの不具合が生じる可能性は否定できない。便利で楽しいクラウドドキュメントだがまだまだ発展途上であり、各会社も対応していないケースは多いだろう。現状では「ファイルの保存先の1つ」として使う程度に留めておくことが良さそうだ。

    拡張子が変わる

    クラウドドキュメントに保存(変換)すると、拡張子の末尾に「c」の文字が付加されて拡張子がかわる。クラウドドキュメント形式ということがひと目で分かる。

    .psd→.psdc
    .ai→.aic

    「保存しないで閉じる」ということができない

    クラウドドキュメント形式だと「ファイルを閉じるときには必ず自動的に保存される」という仕様となっている。「保存」を押さなくとも未保存の場合は閉じる際に自動的に保存される。確認のメッセージは無い。
    場合によってはこれがネックになる人もいるだろう。
    「ちょっと試しに変更してみて駄目そうなら保存しないで閉じれば良い」という使い方が出来ないのだ。クラウドドキュメントはバージョン管理されているので「戻る」ことは可能だが、ブラウザでadobeドキュメント専用ページを開いてバージョンを確認して戻さなければならない。バージョンは任意で名前を付けない限りタイムスタンプでしか判断できず、場合によっては「どれが戻したいバージョンなのか?」というのが分かりにくい。
    バージョン管理に依存せず、お試し的な感じで編集したいと思ったらローカルに保存するか、別名でクラウド上に保存しなければならず、いずれにせよひと手間かかることとなる。
    自動保存はメリットもあるが、個人的には未保存で閉じようとした場合はローカルのときと同じくメッセージが出て保存するか否かを選択できるとベストだ。

    それでも楽しいクラウドドキュメント

    デメリットも不明瞭な点もあるが、それ以上に楽しさがあり、楽なのがクラウドドキュメント。使わない理由は特に見当たらない。会社と自宅両方で作業する人や、オープンオフィス、ノマドワーカーなど作業場所や機器などが特定していない人にはとてもオススメ。
    使ったら実感できると思うが、ファイル管理はローカルよりやりやすいと筆者は感じている。

    何よりも、別環境、別OSでの差を意識せずに作業を可能とするのはとてもストレスがない。
    筆者は職場でWindows、自宅でMac OSという環境だが何も気にせずにファイルを共有できるのはとても便利である。

    iPad版のIllustratorやPhotoshopなどアプリ版との連携も可能で、これから先も機能や連携は充実していくだろうと予想ができるクラウドドキュメントは使っていくに越したことはない。

    ただし、使えば使うほどにクラウドの容量は消費していくのは楽しみとのトレードオフだ。Illustratorはそれほどファイル容量は大きくないがPhotoshopなどのラスターデータはどうしてもファイル容量が大きくなる。

    adobeのクラウドストレージ追加容量は契約しているプランよって価格は変わるがiCloudやgoogleONEなどと比較してもそれほど値段に差はない。保存できるファイルが限定されるストレージだけども、足りなくなってきたら考える程度でよい。

    最後にコーヒーはいかが?
    本文と少しだけ関係のある小ネタでちょっと一息。忙しい人は読まなくても大丈夫!

    サブスクリプションに抵抗はある?なし?

    アプリや音楽、映像と様々なコンテンツがサブスクリプション化している。メリット・デメリットはひとまず置いておいて、気持ちとして抵抗がある人はまだまだいるようだ。筆者は何も抵抗は無くむしろ好きなシステムである。

    抵抗がある人の意見は様々だが、大雑把に分けると「ランニングコスト」がかかることに引っかかりがあるようだ。分からん話ではない。常に金が取られるという形はなかなか割り切れるものではないのが人の心情だ。たとえ結果的には買い切りと比べて同じような金額を払うことになっているとしても、躊躇するのは分かる話。

    だが、少し意識のベクトルを変えてみたら面白い見え方もすると思う。
    安定し定期的に売上がある事の良さは仕事をしている人には分かるだろう。とてもありがたいことである。安定した利益が見込めるなら、その先の開発や改良もしやすい。コンテンツの充実、機能の充実は利用者にとってとても嬉しい事の1つであり、それを得るには料金を定期的に払うことが必要。持ちつ持たれつ。

    サブスクリプションとは、ある意味「投資」という面も持ち合わせていることを意識してみるのも悪くはないかも。あなた日常的に使うサービス、アプリ、またはクリエイターへの投資。投資をしていけばより良いメリットが得れる可能性が高い。開発やコンテンツの作成・維持には思っている以上に資金がかかるものだ。未来の機能への投資、好きな企業やクリエイターへの投資、どんな理由でも良いがサービスを使い続ける以上は結果的に自分へ返ってくるので、自分への投資という見方もできる。

    買い切り型は投資というよりは「所有」することが主目的で支払いが済めば、そこから先にはあまり続かない性質がある。これの良し悪しはあるにせよ、サブスクリプションとは内包している意味や目的が大きく違うという事は意識したほうがよい。
    サブスクリプションとは新しい買い物の仕方。
    何かを「所有」するのではなく「使う権利を得る」という買い方なのだ。何かを未来永劫所有するという訳ではない。「レンタル」とも少し違うのだが、それはまた別の話題で。

    サブスクリプションが一般化されつつある流れの中で、違法コピーや海賊版などの利用は減ってきているという。自分の出費が世の中を綺麗にしつつ受けるメリットも大きいなら、サブスクリプションというシステムは決して悪いものではない。

  • 【Illustrator】乗算などで混ざった部分の色情報を取得する方法

    【Illustrator】乗算などで混ざった部分の色情報を取得する方法

    Illustratorで乗算など不透明度を設定した際に、オブジェクトが重なって混ざった部分の色情報を取得する方法。制作物のカラーチップなど作る際に便利な小技。

    例はCMYKにて解説しているが、RGBなどでも同じ手順でOK。

    この方法はパスオブジェクト同士が重なっている場合のみ有効でパスと画像やドロップシャドーなどのスタイライズ部分(ラスター部分)には効果がありません。そのような場合にはPhotoshop等を活用して下さい。

    下の例では、M100(乗算)とC100のオブジェクトが重なり、真ん中の「?」部分の色を知りたいが、スポイトツールを使用しても、上にあるオブジェクトのM100の値しか拾わない。画像で青色の部分の色情報(CMYK)は?

    1:取得したい色が関わるオブジェクトを選択

    重なっているオブジェクトを選択する(上の例ではM100とC100のオブジェクトを選択)

    以下の作業は基のオブジェクトの形状や属性を変更するため、必要な部分をコピーペーストして別オブジェクトとして作業することをオススメする。

    2:上部メニューのオブジェクト→透明部分を分割・統合をクリック

    「ラスタライズとベクトルのバランス」をベクトル側【100】にする→【OK】ボタンを押す
    (他はデフォルト値のまま)

    3:オブジェクトの情報を確認(スポイトツールも使用可能)

    オブジェクトが色毎に分割されたので、スポイトツールなどでオブジェクトの色情報を確認する。
    (乗算の効果などは全て破棄される)

    最後にコーヒーはいかが?
    本文と少しだけ関係のある小ネタでちょっと一息。忙しい人は読まなくても大丈夫!

    「色」の指定はアバウトでもなんとかなる?大丈夫!

    印刷物でもデジタル作品でも同じことだが、あなたが超厳密な色管理が必要なプロジェクトに関わっていないのならば、わりとアバウトに考えていても大丈夫だ。難しく考えすぎてドツボにはまっている人を見かけるが泥試合で金と時間の無駄なので、それをもっと違う部分に使うほうが作品のクオリティは上がる。

    なんで?アバウトで大丈夫?という疑問にお答えすると「世の中に同じ色は1つも無い」と言えるからで、1つも無いなら多少のブレ幅なんて気にしていてもしょうがないからだ。
    例えばA君とB君が同じ赤いリンゴをスーパーの生鮮コーナーで見ていたとしよう。A君もB君も「赤」とは認識しているが、それが「少し濃く熟れた赤」なのか「鮮やかでおいしそうな赤」なのかは見る人によって違う。A君とB君が「全く同じ赤色」を認識することは無い。個々がイメージする色の感覚、身体的な特性(視力や身長など)、立ち位置の違いによる光の差など様々な要因が合わさって、人の目に映る色は同じ色が1つもないと断言しても良い。同じ赤でも違うのだからコンマ数%にまでこだわって色調整をしたり、高い機材を買ってカラーキャリブレーションをしたりと神経質になりすぎても意味はない(ある程度の水準は必要だが)

    また、機械的な差もある。PCモニターやスマートフォンなど機種によっても色が違うし、印刷所、印刷する材質、印刷したロットによっても色は変わるのである。もう制御のしようがないので、開き直って「ある程度アバウトでも大丈夫!どうせ同じ色なんてない!」と思ったほうが気楽というものだ。

    躍起になって同じ色を再現する事に時間と金をかけるよりは、あなたが「その色に持たせる意味」を深堀りする時間にあてるのがおすすめ。色の持つ印象はあまり変わらない。「赤は熱い」のである。その「熱い」をもっと的確に伝えるためにはどうしたら良いか?ということを考えて作品に盛り込めばぐっとクオリティは上がる。CMYK値が1%違ったからと言って大騒ぎするくらいなら「そのくらい違ってもノープロブレム!」と胸を張って言える作品は誰にとっても良いものだ。

    誰もあなたが思う1%の色の違いは分かりません。

    ただ、物事には例外があって唯一色に拘りまくるのが正解なのは「キャンバスに描く絵」だろう。紙などに書いた絵はそれだけで全て完結した物なので拘り抜いた色はそのままその絵の価値となる唯一無二の作品だからだ。

  • Illustratorのファイルを軽くする保存設定

    Illustratorのファイルを軽くする保存設定

    Illustratorのファイル保存、デフォルトの設定は安全ではあるけど最適ではない。会社やプロジェクトでファイルの保存規定がないのであれば、下記の設定が軽くて良いので試してほしい。ポイントは2つ。

    ※自分の制作環境に合わせて使用して下さい。

    ファイル保存の設定

    2つのチェックを外すだけ!

    ・PDF互換ファイルを作成
    ・ICCプロファイルを埋め込む

    ファイル保存のオプション画面

    覚えておきたいチェックを外した2つのオプションの役割

    チェックを外した2つの役割は?どんなときに必要?ということを覚えておくことをオススメ。必要なときにチェックを入れてファイルを保存できる知識があっても損はない。簡単に解説するので、詳しい事を知りたい人は各々で調べて欲しい。

    PDF互換ファイルを作成

    「別のバージョンに互換性があるPDF形式のデータをAiァイルの内部に作りますよ!」というオプション。

    Illustratorの別バージョン、別環境でもファイルを開いて編集可能なPDF形式のデータをAiファイル内に埋め込み利便性を向上させるための機能。Aiファイルの中にPDFファイルが丸ごと埋め込まれている状態で、このオプションを外すことにより埋め込まれるPDFが無くなるためファイル容量が約30~40%ほど減る。ファイル容量が少ないので、ファイルの保存・ファイルを開くときの時間が短縮される。また、ファイルが軽いとPC内で起こる様々なデータの不具合リスクを軽減できるのでメリットは大きい。

    殆どの人は自分で編集保存をしチーム内でもイラレのバージョンは統一されている事だろう。したがってこの互換性PDFを埋め込むメリットはあまり無い。

    このオプションをONにするときは、全く別の環境が想定される人にファイルを渡すときや、長期保存するような場合だろう。どちらのケースでも極論を言えばあまり意味はないが全く開けなくなる可能性があるよりはリスクマージンは広く取っておける。

    オマケとして、PDFを埋め込むとファイルのサムネイルが表示可能になる。

    ICCプロファイルを埋め込む

    詳しくは個々で調べて欲しいのだが、簡単に言うと「色環境の設定をAiファイルに埋め込むね!」というオプション。

    実は殆どの人に必要がない。逆にこれが基で問題が起こる事もある。多くの印刷所でもこのオプションのチェックを外して入稿するような指示があるので外しておいて問題はない。

    最後にコーヒーはいかが?
    本文と少しだけ関係のある小ネタでちょっと一息。忙しい人は読まなくても大丈夫!

    アプリケーションのバージョンアップと下位互換は付いて回る問題。これをしとけば絶対安心なんて事もなく、古いファイルはいずれ使い物にならなくなるということは常に意識しておくのがオススメ。

    そもそも使えないかもしれない古いファイルを引っ張り出して利活用しようとすること自体がとても危ういことだ。消費期限を大幅に過ぎた食材で調理するほど危険な事はない。想像するだけでお腹が痛くなりそう。問題しかない。

    データも同じで古いファイルは何かと問題が出る確立が高い。ファイルが開けないほどではないが内部に少しのエラーが時限爆弾のようにあって、作業中にいつ爆発するかわからない状態であることが多い。「ついさっきまで開けたのに!」という経験をした人も少なくないだろう。あれは何らかの原因で内包していたエラーが起因となりデータが壊れた状態になったのだ。古い傷口が開いて大怪我につながったと言い換えても良い。

    常に使うようなデータ、利活用が予定されているデータは常に新しいバージョンに対応させ最新版として更新していく事が望ましい。自分用のテンプレートを作っても良いだろう。

    また、客先などからとても古いデータを提供される事もあるだろう。この場合はしっかりと「データが古すぎて使い物にならない可能性がある。作り直しもありうる」という説明をしたほうが結果的に良い関係を築ける事に繋がるだろう。筆者はあまりにも酷い状態のデータを提供されたときは、追加料金をもらうか突き返している。無理矢理使ってもろくなことがなくお互いに良い事はないからだ。

  • Illustratorで特色が混在したデータをプロセスカラー(CMYK)に一括変換

    Illustratorで特色が混在したデータをプロセスカラー(CMYK)に一括変換

    Illustratorにて、1つのファイルに特色(スポットカラー)とプロセスカラー(CMYK)が混在したデータをプロセスカラーのみに(特色は全てCMYK値)一括変換する方法。

    1つのデータ内に特色とプロセスカラーが混在

    1:オブジェクトを全選択

    データ内のオブジェクトを全選択するか、変換したいオブジェクトのみを選択する。

    オブジェクト全選択のショートカット
    Windows:Ctrl + A
    Mac:⌘+A

    2:編集→カラーを編集→CMYKに変換

    上部メニューから編集→カラーを編集→CMYKに変換を選択する。

    ドキュメントのカラーモードがRGBの場合、CMYKの選択は不可。

    3:完了

    特色は全てプロセスカラー(CMYK)へ変換された。

    特色が100%以外でも近似色のCMYKへと変換される。

    小数点以下の端数を四捨五入して整数へするのがオススメ。データの利活用時に便利。カラー値を四捨五入して丸めるスクリプトも多くあるので活用しよう。

    最後にコーヒーはいかが?
    本文と少しだけ関係のある小ネタでちょっと一息。忙しい人は読まなくても大丈夫!

    特色って何?
    読んで字の如く「特別な色」「特殊な色」のこと。印刷はCMYK4色のインクを混ぜて色を再現するが混ぜ合わせるだけでは再現できない色がある。混ぜれば混ぜるほどに濁るのは絵の具と同じだ。綺麗な発色が欲しい場合、金色銀色・蛍光色などが必要な場合に特別に調合した色を「特色」と呼ぶ。

    印刷機の高性能化、インクの高品質化は日々上がっており一昔前に比べCMYKの混合だけでもかなり良い色が出るようになった。特色を指定しての印刷も少なくなってきている。将来的には「特色」という指定方法が無くなるかもしれない。インクの調合という仕事は無くならないと思うが、特別な指定をせずともプロセスカラーの指定だけで大丈夫なほどになるかも。その頃にはCMYKという数値も使われていない気もする。

    そんな日が来たら、デザイナーとしては少し楽になるかも。