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  • 【Illustrator】1つのパスのアンカーポイント上限数は?

    【Illustrator】1つのパスのアンカーポイント上限数は?

    Illustratorの1本のパス(オブジェクト)にはコントロールポイント数に上限があります。

    1本のオープンパスのコントロールポイント上限数は、

    「32000ポイント」

    これを超えることは基本的に出来ません。

    例えば、2本のパスを「連結」しようとしたとき、連結後のアンカーポイント総数が32000ポイントを超えるようであれば連結処理はされません。連結しようとしてできない場合は、アンカーポイント数を疑ってみてください。(ポイント数は情報パネルの「オブジェクト」で確認可能)

    ただし「複合パス」は1つの複合パスオブジェクトで32000ポイント超えることが可能です。

    2つ以上のオブジェクトの集合体という扱いのため、見た目としては1つのオブジェクトのように見えますが実態は複数のオブジェクトがグループ化されているような状態です。複数オブジェクトのアンカーポイント総数が表示されるため、32000ポイントを超えていても問題ないのです。ただし1つ1つは32000ポイント以下のオブジェクトである必要はあります。

    もう一つ例外があります。

    32000ポイントを持つオープンパスに「アンカーポイントの追加」をペンツールでしていく方法です。情報パネルでは32000ポイント以上が1つのパスにある表示になるのですが、これは限定的なものであり、一度保存して次に同じファイルを開いた時には32000ポイント目と32001ポイント目が分割されて2つのオブジェクトになっています。塗り色や線色は全て破棄されている状態となります。

    もしファイルを開いた時にこの状態になっていたら、何らかの理由で32000ポイントを超えていたオブジェクトがあったという事になります。適宜分割して32000ポイント以内に収めるように修正しましょう。

    さらに例外があります。

    Illustrator以外にアプリで保存したベクターオブジェクトをIllustratorに読み込んだ時です。

    320000ポイントという上限はあくまでもIllustratorの上限値ですので、例えばCADや他のベクターアプリではこの上限値より多くのポイントを持たせることが可能なものもあります。それらで作成されたファイルを読み込んだ際には、一時的に32000ポイントを超えるオブジェクトがIllustrator上に表示されますが、これも一度保存して開き直した際には上記と同じく32000ポイントのところで分割されます。

    *Illustrator以外で作成された32000ポイント以上のオブジェクトは正常に読み込まれない場合もあります。

    ポイント数の上限はこの記事を制作した際の上限です(Illustrator CC2023)

    今後、増える可能性もあります。

  • 【Illustrator】グラフ設定の「グラフの幅」と「各項目の幅」をわかりやすく解説

    【Illustrator】グラフ設定の「グラフの幅」と「各項目の幅」をわかりやすく解説

    Illustratorの「グラフ」機能は上手く使えばグラフィカルな棒グラフなどを簡単に作成できるが、使い方が今ひとつわかりにくい。中でも見た目に直結する「グラフの幅」と「各項目の幅」の設定は特にわかりにくいため、本記事では重点的にこの2点だけを解説する。

    本記事では「棒グラフ」を例にして解説するが、基本的にはどのグラフでも考え方は変わらないので、他のグラフでも応用は可能。

    「棒グラフの幅」と「各項目の幅」の数値を100%にした場合はどうなる?

    データを1つだけ入力して棒が1本だけの状態で「棒グラフの幅」と「各項目の幅」の値に【100%】を入力した場合はこうなる。

    グラフ全体が塗りつぶされるように、棒グラフが1本描画される(緑の部分)

    棒グラフの場合、「棒グラフの幅」も「各項目の幅」も横軸に対して適応される。1つしかない棒の幅を100%に設定しているため、グラフの幅いっぱいに棒が生成されている状態だ。縦軸はデータに入れた数値の最大値となっているため、縦横めいっぱいに棒が描画されたというわけだ。

    「棒グラフの幅」を50%にしてみよう

    まずは結果から。一気にグラフらしくなったでしょう。

    「棒グラフの幅」は文字通りグラフ上にある棒の「幅」を決める値(パーセンテージ)となる。重要なのは「何に対しての50%なのか?」ということ。もちろん基準となるのは「各項目の幅」だ。
    まずはこの事をしっかり覚えておこう。

    「棒グラフの幅」を決めるのは「各項目の幅」が基準

    上の棒グラフの場合「各項目の幅」100%に対して「棒グラフの幅」は50%となるため、左右に25%づつスペースができる(棒は自動的に横軸の中央に配置される仕様)。例えば、グラフ横軸の最大幅が10cmとすると、緑色の棒の幅は10cmの50%となるので5cmの棒が描画されるということだ。

    基本はこれだけ。これだけをしっかり覚えればあとは色々な数値を入れて試していけば、すぐに慣れるだろう。きちんと計算すればグラフの最大幅、各棒グラフの幅、棒と棒のスペースなどをセンチメートルなどの単位で導き出す事が可能。紙面上でグラフを入れるスペースが何cm×何cmと決まっていても大丈夫。きっちりとスペースに収まる綺麗なグラフが作成可能だ。

    「棒グラフの幅」「各項目の幅」を50%にした場合

    「棒グラフの幅」を決めるのは「各項目の幅」が基準のため、

    各項目の幅:横軸の最大幅の50%

    棒グラフの幅:「横軸の最大幅の50%」の50%=横軸全体の25%

    %だと感覚的にわかりにくい人は「cm(センチメートル)」や「mm(ミリメートル)」に置き換えて考えると良いかもしれない。

    例えば横軸の最大幅を「10cm」とした場合、

    各項目の幅:10cmの50%(半分)=5cm

    棒グラフの幅:5cmの50%(半分)=2.5cm

    というようになる。

    基準となるのが「各項目の幅」の値となるので、まずは「各項目の幅」を決めてからグラフの作成を始めると良い。

    各項目の幅は「横軸のうちどれくらいを棒グラフの面積にしようか?」という決め方でよい。もっというと、横軸の左右の余白をどれくらい(何%)取ろうか?ということだけだ。余白を20%空けたいのであれば「各項目の幅」に入れる数値は【80%】となる。

    入力データを2つにした場合は?

    次に入力データを2つにしたグラフを見てみよう。いままでは1つだったため棒も1本だったが、次からは2本のグラフを例にして解説していく。「棒グラフの幅」「各項目の幅」はともに100%の数値を入れたグラフが下のものだ。

    当たり前だがデータが2つのため、棒は2本となる。

    「各項目の幅」は100%のため、グラフ横軸をめいっぱいに使って描画される。

    各項目の幅」という言葉に騙されそうになるが、「各項目を合わせた幅」と言い換えるとわかりやすい。それぞれの棒の幅ではなく、棒をすべて合算したときの幅という意味だ。Adobeの日本語訳はたまに分かりづらい箇所がある。

    「棒グラフの幅」は1本ごとの棒の幅を決める数値なので、100%の場合は棒どうしがくっつく。

    「各項目の幅」に入力した数値を最大値としてデータの個数で均等割りした幅が棒1本ごとに割り当たる最大幅となる。「棒グラフの幅」はこの最大幅に対して何%を棒として描画するかという数値を入力する項目だ。

    例えば、
    「棒グラフの幅」:100%
    「各項目の幅」:75%
    と設定した際のグラフは以下のようになる。

    横軸の左右に余白ができた。
    棒2本を合わせた幅が「75%」となるため、左右に25%を2で割った「12.5%」の余白だできるということになる。75%の幅は横軸の中央に描画される仕様だ。このような仕様のため、先にも書いたように「各項目の幅」はグラフの左右につけたい「余白」を作るための数値と覚えても問題ない。

    例をもう一つ。
    「棒グラフの幅」:50%
    「各項目の幅」:100%
    と設定した際のグラフは以下のようになる。

    こちらも同じく左右に余白ができるが「各項目の幅」を75%にしたときと意味合いは全く違うので注意が必要だ。この場合の横軸左右にできる余白はデータの個数や「棒グラフの幅」に入力した値によって常に変動することとなる。作りたいグラフによってはこのやり方のほうが良い場合もあるが、慣れるまでは「各項目の幅」で横軸左右の余白を決めて、棒グラフの幅で棒の幅と棒どうしの余白を決めていくほうが混乱しないだろう。まずは「各項目の幅」を決めてから「棒グラフの幅」で調節していくという手順がわかりやすい。

    まとめ

    パーセントという単位では理解しにくいという人は、センチメートルやミリメートルなど直感的にわかりやすい単位で考えるとスッと理解できると思う。

    練習する場合、データに入れる数値は単純な整数にして「棒グラフの幅」と「各項目の幅」に入れる数値も50%や25%などわかりやすく、偶数で割り切れる数値にて試すとより理解がしやすい。

    最初にグラフツールで大きさを決める際も、縦横10cmなどの正方形で設定するとさらにわかりやすい。実際に各グラフの棒の幅を測れば、パーセントの感覚も掴めるだろう。

    グラフを制作する際に設定する順番は

    1. 「各項目の幅」で左右の余白サイズを決める
    2. 「棒グラフの幅」で棒の幅を調節する

    この順番で作業すると、混乱せずに希望のグラフが作れることだろう。

  • [Illustrator]ライブペイントでアイソメイラストを塗り絵のように楽しく作る

    [Illustrator]ライブペイントでアイソメイラストを塗り絵のように楽しく作る

    Illustratorのライブペイント機能を使えば、塗り絵のように楽しくアイソメイラストを書ける。
    好きな色を好きなように塗り塗り。
    上手く塗るコツは、最初に使う色を3色決めてスウォッチに登録するだけ。
    もちろん3色以上もOK。

    • バージョン:IllustratorCC以上
    • iPad版Illustratorは不可(ライブペイント機能未実装)

    STEP1:ライブペイント用のグリッド線を作る

    アイソメトリックイラストに欠かせないグリッド線。
    大きく分けて、グリッド(マス目)がひし形か三角形の2パターンあり、ライブペイントで作る場合は三角形のグリッドを使う。ひし形だと縦線が塗れないからだ。

    すでにグリッド線の作り方を知っている人やテンプレートがある人は、ご自身のでOKなのでSTEP2へ進もう。
    テンプレートや作り方に自信が無い人は、当blogでグリッド線の簡単な作り方を解説しているので、下記を参考に。

    STEP2:スウォッチに使う色を登録しよう

    3色でOK。
    ・基本の色
    ・少し暗い色
    ・かなり暗い色

    アイソメトリックイラストは、必ず「3つの面」がつながって1つの立方体となる。
    作品のテイストにもよるが、一般的には上面がもっとも明るく、右面が暗い。左面はその中間。左上から光が差していることとなる。
    なので、上面を基本にして、少しくらい色とかなり暗い色の3色を作れば最低限OKだ。

    アートボード外の適当な場所に、3つの四角形を作って3色を決めよう。四角形の大きさは任意で。

    色を決めたらスウォッチに「新規カラーグループ」として登録しよう。これを登録することでライブペイントでの色塗りが劇的に楽になる。

    1. 着色した3つのオブジェクトを選択する
    2. スウォッチパネル下の「新規カラーグループ」ボタンを押す(フォルダのアイコン)
    3. 任意で名前を付けてOKボタンを押したらカラーブループ完成

    STEP3:アイソメ用のグリッドをライブペイント化しよう

    STEP1で用意作成したグリッド線をライブペイント用のオブジェクトに変換する。
    グリッド線が多い(マス目が細かい)と処理に時間がかかり、場合によってはIllustratorがフリーズしたり落ちたりするので、必ず保存してから作業しよう。
    あまりに多いとIllustratorが「複雑で時間かかるから保存をオススメ!」というメッセージが出るときもある。

    1. グリッド線を選択
    2. 線と塗の色を「なし」にする
    3. メニュー「オブジェクト」→「ライブペイント」→「作成」をクリック
      もしくは、ライブペイントツールでグリッド線のオブジェクトをクリック
    4. ライブペイント用のオブジェクト変換完了

    STEP4:好きなように楽しく着色

    最初はちょっと慣れが必要だけど、好きなように着色していけばよい。
    ただし、ライブペイントはIllustratorの機能の中でも重たい部類なのでこまめな保存をしながらの作業がオススメ。

    上面、左面、右面の「ひし形」を意識すると塗りやすい。ライブペイントのグリッドは三角形なので2つのエリアで1セットと覚えるのが良いだろう。

    最初は上面を着色して、ある程度の形が見えたら左面と右面を着色して立体感を出すのが楽だ。

    ライブペイントツールで楽に着色するヒント

    ・上下左右の矢印キーでスウォッチの色を選択する
    ライブペイントカーソルの上に出ている3色の四角は「選択されているスウォッチの色」とその左右の色を表示している。
    これを矢印キーの左右で変更可能。
    STEP2で作成した3色の色を矢印キーで切り替えながら着色するととても楽。
    上下キーはスウォッチのグループを変更可能。着色「なし」を選択すれば、間違って着色した部分を消せる。

    ・キーボードショートカットでスポイトツールを活用
    ライブペイントツール使用中にAltキーかOptionキーを押すことでスポイトツールに変わる。矢印キーでのスウォッチ切り替えと合わせて使うと色の選択が更に楽々。
    Windows:Altキー
    Mac:Optionキー

    ライブペイント塗り絵の例

    ライブペイントの詳しい機能はこちらの公式ヘルプをご覧下さい。

    より複雑な形状を作りたい。ライブペイントではなく自分で作図したい場合はこちらの記事が役に立つと思います。

  • [Illustrator]アイソメイラスト作成でシアー等の変形後に元の幅へ戻す拡大率

    [Illustrator]アイソメイラスト作成でシアー等の変形後に元の幅へ戻す拡大率

    アイソメトリックのイラストを書くとき、平面(正面図など)で書いた図形に縮小→シアー→回転と変形してアイソメトリックの形にすると元の幅より小さくなっている。縮小とシアーをかけているので当たり前なのだが、グリッド線に合わせて作図しているとこれがけっこう困る。手動で書いたオブジェクトと合わなくなるからだ。
    そこで、元の幅に戻す「拡大率」のご紹介。アクションに組み込むと作業が捗る。

    まずは注意事項

    この拡大率は全てのパターンで正確に元に戻る拡大率ではない。限りなく元の幅の近似値になる拡大率であることに注意が必要。
    例えば。
    元の幅=50mm
    拡大率適応後の幅=49.9999mm
    という具合になる場合がある。もちろん元の値に戻る場合も多数。
    単位が「ピクセル(px)」の場合に近似値となることが多い。

    これは元々の縮小率がルート(割切れない数値)に基づいていたり、ピクセルやミリメートル、ポイントなどの単位変換による誤差もある。さらに筆者は数学にあまり自信がないということも付け加えてご了承頂きたい。

    また、幅100%で高さ86.6%で縮小する変形方法の場合、この拡大率は使えないので注意。

    元に戻す拡大率は「141.4206%」

    アイソメトリックな形にする縮小→シアー→回転→拡大の手順。

    上面
    1. 拡大縮小:水平81.65% 垂直70.71%
    2. シアー:30度
    3. 回転:-30度
    4. 拡大縮小:縦横比を固定「141.4206%」
    左面
    1. 拡大縮小:水平81.65% 垂直70.71%
    2. シアー:-30度
    3. 回転:-30度
    4. 拡大縮小:縦横比を固定「141.4206%」
    右面
    1. 拡大縮小:水平81.65% 垂直70.71%
    2. シアー:30度
    3. 回転:30度
    4. 拡大縮小:縦横比を固定「141.4206%」

    上面の幅は元オブジェクト幅の2倍となり、左面と右面の幅を合計した数値となる。

    グリッド線を元にして手動で作図したオブジェクトと、正面図からシアー等で変形したオブジェクトを混在させながら作るときにとても重宝する。円形や複雑な形状のときは特に。
    上・左・右面用に各アクションを組んでおくと便利。アクションのパネル上では小数点第2位までの表示のため「141.42%」となるが、拡大縮小の入力時に「141.4206」としていれば大丈夫。

    一歩踏み込んで、こんな小技はどうでしょう?

    上面、左面、右面の各アクションに明るさの調整を加えると便利だ。
    アイソメトリックイラストは多くの場合、
    ・上面:明るい色(立体の基本的な色)
    ・左面:上面より10~30%ほど暗い色
    ・右面:上面より30~60%ほど暗い色
    という事が多い。
    つまり上面の色を基準にして左右を暗くすれば良いのだから、これをアクションに組み込むと作業が捗る。もちろん、作風によってはこの手法は使えないので作りたいものによって使い分けよう。

    ただし以下の手法はドキュメントのカラーモードが「CMYK」と「RGB」で別々のアクションを組む必要がある。カラーモードがCMYKの場合RGBの色調整のアクションは無視されてしまう。逆も同じ。
    真っ黒(RGB:0、K100%)の色には通用しないので注意。

    1. 色を変更したいオブジェクトを選択(左面か右面)
    2. メニューの「編集」→「カラーを編集」→「カラーバランス調整」
    3. RGBモード:RGB各値をマイナスで同じ数字。CMYKはKの%をプラスにする
      (画像例は20%暗く指定)

    イラスト全体を淡い感じに仕上げたい場合は、「カラーバランス調整」ではなく「カラーを編集」→「彩度調整」を使っても良い。この場合は一番濃い色の右面を基準に、上面が一番彩度が低くなるように調整しよう。

    最後にコーヒーはいかが?
    本文と少しだけ関係のある小ネタでちょっと一息。忙しい人は読まなくても大丈夫!

    アイソメトリック画像(イラスト)を作る手法は様々にある。大きく分けてIllustratorやPhotoshopなどの2Dで描く方法と、CADや3DCGソフトを使う3Dから作る手法。どちらも一長一短なのでどっちが良いというものでもない。どっちも良い。
    作りたい作品によって使い分けるのが良いだろう。簡単なイラストや手書きのテイストを重視したいなら2Dソフトで作り、複雑な構造や多数のオブジェクト、陰影のリアルさなどを表現したいなら3Dソフトが強い。
    さらにIllustratorだけをとっても様々な手法がある。
    効果の「3D 押し出しベベル」を使ったり、手動で書いたり、ライブペイントを使ったり。2Dソフトの中にはアイソメトリックを書くための専用補助ツールを搭載しているものもあり、選択に困るだろう。
    筆者も色々なソフト・アプリを試していはいるが、いまのところ正解は得ていない。
    ・2Dソフト→立体を作るのが時間がかかり、複雑な構造物は頭が混乱する
    ・3Dソフト→オブジェクトの作成、ライティング、レンダリングと全体的に時間がかかる
    いづれにせよ「書きたいもの」によって手法を使い分ける事が作業時間を減らしクオリティを上げることに繋がる。逆に言うと、色々な手法を試さないと自分の作風に最適なものは分からないということだ。
    ネット状にはこの記事を含めて様々なTIPSやソフト・アプリの紹介があるが、自分に合っていそうだなと思ったものはとりあえず試してみることをオススメする。

  • [Illustrator]アイソメイラストのグリッド線をパス1本でサッと作る

    [Illustrator]アイソメイラストのグリッド線をパス1本でサッと作る

    アピアランスで作るから、最初は適当に作って後で間隔などを調整可能という便利さ。
    最初に緻密な計算が不要でざっくりと始められるストレスの無さは魅力的。

    STEP1:アートボードの左端に垂直な線を引く

    アートボードの左端にアートボードと同じ高さの線を1本書く。
    アートボードの大きさ、単位などは任意でOK(この記事では単位ピクセルで解説)

    • アートボードの高さと同じ
    • アートボードの左端(X=0の座標)
    • 線幅は1pt以下が見やすい
    • 線色は何色でもOK(塗り色は無し)
    • 単位などは自由に設定可能

    STEP2:アピアランスで線を伸ばす

    STEP1で作成した線を選択したまま、アピアランスパネルの新規効果追加ボタン(Fxボタン)より
    「パスの変形」→「変形」をクリックする。
    ※この後の手順でも「パスの変形→変形」を何度も使います

    垂直方向を「300%」以上にする。

    • 垂直方向に300%以上伸ばす
    • あとで変更可能

    STEP3:アピアランスで線をコピー

    アピアランスの「変形」で線を複数コピーして垂直線を増やす。線と線の間の間隔も設定する。
    STEP2の線を選択したまま、新規効果追加ボタン→「パスの変形→変形」をクリック。
    「水平方向」に任意の数字を入れる(線と線の間隔を決める)
    「コピー」に任意で偶数の数字を入れる(アートボードの右端までコピーされる数値を入れる)
    コピー数は奇数の数字だと後の手順でグリッド線がズレるため、必ず偶数を入力する。あとで変更可能なので入力数字は適当でOK。

    • 水平方向に線の間隔を入力
    • コピー数はアートボードの右端程度
    • コピー数は必ず偶数を入力
    • あとで変更可能

    STEP4:アピアランスでパスを回転する

    STEP3の線を選択したまま、新規効果追加ボタン→「パスの変形→変形」をクリック。
    角度「60度」を入力
    コピー「1」を入力
    グリッド線がズレるため、この数字は絶対に変更しない事。

    • 角度「60度」
    • コピー「1」
    • 数値は変更しない

    STEP5:さらにアピアランスで線を回転する

    STEP4の線を選択したまま、新規効果追加ボタン→「パスの変形→変形」をクリック。
    角度「120度」を入力
    コピー「1」を入力
    STEP4と同様にグリッド線がズレるため、この数字は絶対に変更しない事。
    このステップで基本的なグリッド線は完成。

    • 角度「120度」
    • コピー「1」
    • 数値は変更しない
    • 基本的にはこれでグリッド線は完成

    STEP6:グリッド線の調整

    STEP5までの手順で出来上がったアピアランスパネルは「変形」効果が4つできている。
    そのうち、STEP2と3で作成したアピアランスを調整して、作成するアイソメトリックイラストに合わせた設定をしていく。

    • アートボードより線が短い場合は「垂直方向」の%を大きくする
    • アートボード全体に線が無い場合は「コピー数」を多くする(偶数の数字)
    • 回転角度は変えない

    STEP7:アピアランスを分割して完成

    STEP6で好みのグリッド線が出来上がったら、「オブジェクト」→「アピアランスの分割」をクリックしてパス化。グループを解除後にガイド化するか、好みの線幅と色を付けてガイド用のオブジェクトとして使う。
    「アピアランスの分割」後は線の間隔などを調整できないので注意。

    一度覚えてしまえば次からはサクッと作れる。「変形」を4回繰り返しているだけだ。基本的な部分は変わらないのでSTEP5まではアクションを作っても良いかもしれない。

    余談ではあるが、オブジェクトのコピーペーストで60度・120度回転しても綺麗なグリッドはできず高確率でずれる。幅長さを計算すれば可能だが、それよりはアピアランスで作ったほうが早いだろう。

  • [Illustrator]パス1本だけでリピート機能を使い綺麗な円形幾何学模様の作り方

    [Illustrator]パス1本だけでリピート機能を使い綺麗な円形幾何学模様の作り方

    まずは完成図から。パス1本でこんなのが書けます。リピート機能「ラジアル」の裏技的な使い方。

    リピート機能はIllustratorCCバージョン2021から使える機能です。それ以下では使用できません。

    STEP1:直線を書く

    直線のパスを1本作る。長さ、線幅はお好みで。短すぎたり太すぎると見にくいので注意。

    ポイント
    • 線幅は1pt程度が見やすい
    • 長さは最終的な大きさの1/3~半分くらいがちょうど良い

    STEP2:リピート[ラジアル]を適用する

    STEP1で作成した直線を選択し、上部メニュー「オブジェクト」→「リピート」の「ラジアル」をクリックしてラジアルリピートを適用する。数値はデフォルトでOK。

    STEP3:リピートオプションの半径を「0」にする

    半径を「0」にした場合、STEP2の状態には戻れない為、不安であればSTEP2の状態のオブジェクトをコピペしてどこかに一時保存しておくと良い。

    リピートしたオブジェクトを選択状態のまま、「リピートオプション」の半径の値を「0」にする。単位はデフォルトのままで良い。

    ポイント
    • 半径の数字を「0」にする
    • STEP2の状態には戻らないのでコピペでSTEP2のオブジェクトを一時保存すると良い

    STEP4:リピートオブジェクトの半径の数字を増やす

    STEP3で「0」にした半径を適当な値まで増やす。半径の値は直線の長さにより変わるため、下の画像のように少し線が重なる程度まで数値を増やす。

    半径を「0」にしたときに、リピートする基準点が変わったため、リピート数はSTEP2と同じだがリピートされた結果が異なる。ここが裏技的な要素。

    試しにリピート数を「1」にしたのが下の画像↓ STEP2と青いガイド線の位置が違い基準点の位置が変わったのが分かる。

    STEP5:リピート数を増やす

    リピートオプションの「リピート数」を最大値の「100」にする。後で変更できるので100を入力しとくと分かりやすい。

    ポイント
    • リピート数は「100」を入力すればOK

    STEP6:半径とオブジェクトサイズを調節して好きな形に

    リピートオブジェクトの「半径」の値と、オブジェクトそのものの大きさを変更して好きな形と大きさに整えていく。まずは半径を小さくしてからオブジェクトの大きさを大きくする手順がオススメ。1度では良い形にならないため、続けて何回も半径と大きさを変えていく。「やり直し」は使わない。
    線幅を細くするとより精細な幾何学模様のイメージとなる。リピート数を変えても良い。

    ポイント
    • 「やり直し」は使わない
    • 半径→オブジェクトサイズ の順で繰り返し形を整える
    • 半径は内側の白い丸をドラックして変更可能
    • 縦横の比率は保ったまま拡縮する
    • 線幅を細くすると精細なイメージが強くなる
    • リピート数を減らすと隙間が多くなる

    STEP7:仕上げ

    線幅や色などを設定して仕上げをする。グラデーションは「円形」を使うと着色しやすい。思ったように着色できない場合は「分割・拡張」で全てをパスオブジェクトにしてからの着色しても良い。

    応用でこんなのも作れます↓(拡張後にブレンドツールを使用)

    直線以外でも色々な形状で試すと面白い。初期の形状が単純なほど仕上りは綺麗になるようだ。

  • ちょっとしたファイル名の工夫で整理整頓

    ちょっとしたファイル名の工夫で整理整頓

    日々増えていくファイルの管理や整理は新規にファイルを作成する時にやるのが一番イイ!

    ある程度まとまってからではなく「最初に」が基本。最初以外にやる整理は「取捨選択」として基本的には不要になった作業用一時ファイルの削除などをするのが理想的な管理方法。

    フォルダ・ファイルの命名に気をつけたいポイント

    フォルダ・ファイルの命名ルールを決める事がステップ1だ。完全に自分ルールでOKだが、他人との共有やOSの違い等を考慮した場合、少しだけ気をつけたいポイントがある。

    • 機種依存文字や特殊文字を使わない
    • 全角/半角スペースを使わない

    上記2つは主に文字化けを防ぐためのルールだ。以外かもしれないがスペースも文字化けやエラーの原因となることがある。クラウドストレージやファイル転送サービス、メールなどでファイルをやり取りする状況が多い中で文字化けの可能性があることはデメリットでしかない。

    • 機種依存文字は基本的に使用しない
    • スペースはハイフン【-】やアンダーバー【_】で代用する

    機種依存文字については下記などを参照して、どの文字が該当するのかを把握しよう。

    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E7%A8%AE%E4%BE%9D%E5%AD%98%E6%96%87%E5%AD%97

    名前の先頭に日付を入れる

    オススメは名前の先頭に日付を入れる方法。こうするとファイルを作成した順に自然と並ぶ。

    ファイル作成日・更新日のタイムスタンプは各ファイルに付いているが意外と適当でコピーペーストをしたり、メールやファイル転送サービス等で送付したときなど日付が変わるので当てにしないほうが良い。

    「ファイル名順」でソート表示しても日付順に並ぶのはとても見やすい。フォルダ名にも使えるテクニックだ。

    日付は8桁の西暦がオススメ。6桁の西暦の場合、和暦と混同するためケアレスミスを避けるために8桁の「20210401」などがオススメ。「2021-04-01」のようにハイフンなどを付けないほうがファイル名が短くなって良い。実際に日付を見て判断する機会は少ないので可読性が悪くてもファイル名が短い方がメリットがある。あくまでも日付順に自然と並ぶことが目的だ。

    左:日付あり 右:日付なし

    上の画像を見ての通り、日付がないとどのファイルが新しいのか分かりにくい。

    • 日付があるだけでファイル整理が簡単に
    • 西暦8桁を付けるのがオススメ
    • 西暦にハイフンやアンダーバーは入れないほうがスッキリする

    「最新」と付けるのはNG

    「最新」「NEW」「新」などの先頭に付けるのはNG。「新-新」や「新しい最新」など日本語すら怪しい付け方は愚の骨頂。このようなファイル名を付けている人で見やすく整理されているケースは見たことがない。自分でもどれが「最新」か分からなくなってタイムスタンプでソートをしている光景をよく見る。前述したとおりタイムスタンプは当てにならない。この場合もファイル名に日付を付けていれば問題なしだ。

    上の画像例でも「最新」を付けているが、日付順に並べたときに一番新しいファイルでは無いことが分かる。

    「最新」などは絶対に付けない

    ファイルのバージョンは末尾に数字で付ける

    大きな変更や日付が変わった更新時など、ファイルを新しくする場合がある。これをファイルバージョンと言うが、バージョンはファイル名の末尾に付けるのが良い。先頭に付けた場合に8桁の日付とかぶって見にくい事と、末尾に付ける事によって「同じファイルの別バージョン」ということがひと目で分かるためだ。先頭に日付を付けていない場合でも、バージョン毎に並ぶため利便性が良い。ファイル名の変更時もカーソル移動が少なくて楽。

    「01」や「001」など2桁や3桁がオススメ。1桁より見やすくなる

    フォルダ名はカテゴリー・ジャンル毎に

    上の階層にあるフォルダ名は基本的にカテゴリやジャンル毎に付けるのが良い。
    「仕事」「プライベート」などのジャンル。「見積り」「作業」「写真」などのカテゴリー。

    サブフォルダなどの下層フォルダには先頭に数字などを付けて、例えば業務の処理順に分けたりすると簡易的な進捗管理にもなる。枝番を付けるのもあり。

    資料やテンプレートなど進捗とか関係ないが使用するデータなどを入れるフォルダには「@」や「99」などを先頭につけて、ソートの一番上か下にくるようするとさらに利便性がます。

    名前順のソートは基本的に「記号→数字→文字(英語・日本語)」の順で並ぶ。

    フォルダ名の先頭に数字を付けて簡易進捗管理!

    一息ついた後のファイル整理(取捨選択)と命名ルール

    特に仕事中に多いのが「中間ファイル」「一時ファイル」だ。作業中に一時的に取っておくためのファイルだが消し忘れることも度々。忙しいときなどはパッとコピーペーストして一時的な保管ファイルとするときもあり、気付いたときには「◯◯のコピー」なんてファイルがたくさん。

    納品後などに最終データ以外は削除しても大丈夫な場合などのファイル整理は、気持ちの整理を付けるためにも必ずやっておきたい。理想は納品後の2週間ぐらい経ったときだろうか。個人的なファイルや継続的な業務の場合は季節ごとや月ごとなど自分でルールを決めよう。

    一時ファイル付ける名前にオススメなのはファイル名の先頭に「temp」や「一時」「あいう」「asdf」など明らかにどうでもいい名前を付けると後で見ても削除対象ということが一目瞭然。
    「temp」はTemporary(一時的な)」の略でPCにはよく使われる名称。

    ファイル名の先頭に付けるのは日付順に並ばなくても良いようなファイルだということを分かりやすくするため。このため「適当な数字」は付けないほうがよい。

    ファイル整理として、バージョン管理していたファイルも一息付いたときには最終データだけを残して消すのもありだ。最終データさえ残しておけば大丈夫というファイルの作り方、作業の仕方を心がけるとミスもしにくい。

    • 一時保存のファイル名は先頭にどうでもいい文字を付ける
    • 一段落付いたときに、バージョンファイルなどの整理をする
    • 自分で整理するタイミングをルール化する

    ファイル整理のコツまとめ

    • 機種依存文字とスペースは使わない
    • 名前の先頭に8桁の数字を付ける
    • ファイルのバージョンは末尾に数字2~3桁で
    • フォルダ名の先頭に数字を付けて簡易進捗管理
    • 一時保存のファイルは先頭にどうでもいい文字を付加
    • 「最新」などは絶対に使わない!

    あとは自分なりのルールで使いやすいファイル管理をすると、見やすいファイル群が自然と出来上がる。ほんとうにちょっとした事でメリットはいっぱい。

    最後にコーヒーはいかが?
    本文と少しだけ関係のある小ネタでちょっと一息。忙しい人は読まなくても大丈夫!

    ファイル整理が苦手な人、PC操作があまり得意でない人に多いパターンの1つとして「デスクトップにショートカットやファイルが多数ある」という特徴がある。これはPCにとってとても良くない状態だ。特にWindowsはデスクトップにあるデータにエラーが出ると正常起動しないケースが高確率である。各ファイルやショートカットとは別にデスクトップを管理しているファイルがあるのだが、これがまた非常に脆い。よく壊れる。デスクトップとはちょっと特殊な扱いをする場所のため、ここに何かしらのエラーが出ると、OSが起動しないということになる。とても厄介。

    デスクトップ上でファイルを探すのも時間の無駄だしPCにも悪い。OSが起動しなくなったら仕事に支障をきたすだけではなく、最悪は利益を損失する可能性もある。デスクトップがゴチャゴチャしてることはデメリットにしかなりえないのだ。
    「たかがデスクトップ」と思わず、人に見られやすい場所でもあるので、綺麗に保つよう心がけるとメリットのほうが降ってくるはずだ。

    アイキャッチ画像:Nino CarèによるPixabayからの画像
  • 過去バージョンのIllustratorファイルを最新版にアップデートする方法。不明なエラー等の壊れかけファイルにも有効。

    過去バージョンのIllustratorファイルを最新版にアップデートする方法。不明なエラー等の壊れかけファイルにも有効。

    古いイラレのバージョンを最新版にアップデートする一般的な方法の1つは【別名で保存】から最新バージョンを指定して保存する方法。この記事ではこの他にもう1つご紹介。

    ここで注目したいのは壊れかけのファイルが直る可能性があるということ。古いバージョンのファイルは壊れる可能性が高く、完全に破損してファイルが開けなくなったら対処しようがない。

    「不明なエラーが発生しました」というエラーメッセージが出るファイルも救える可能性があるので頭の片隅に入れておくといざという時に慌てないはずだ。

    • CSシリーズなど古いバージョンに効果的
    • 動作が不安定な壊れかけのファイルが直る可能性あり
    • 近年のバージョンなら【別名で保存】が早くて楽

    ※以下の作業前には必ずファイルのバックアップを取っておきましょう。

    1:アップデートしたいファイルを最新版のIllustratorで開く

    古いバージョンのファイルを最新版で開くだけ。バージョン違いによる文字組みの崩れなどはそのままで次の手順へ。

    2:全選択→コピー

    1. すべてのロックを解除(レイヤー&オブジェクト)
    2. オブジェクトを全て選択
    3. コピー

    3:新規ファイルの作成

    バージョンアップ元のアートボードと同じ大きさで新規作成する。カラーモードやドキュメント設定も同じ方が良い。

    4:新規ファイルへペースト

    手順2でコピーしたオブジェクトをペースト。位置が元とズレている場合は調整する。

    レイヤーオプションの「コピー元のレイヤーにペースト」にチェックを入れると後々の編集がしやすくなる。

    コピー元のレイヤーにペースト

    5:最新バージョンで「保存」する

    任意のファイル名で新規保存をして、ファイルのバージョンアップ完成。この際に最新版ではなく任意のバージョンを選択しても可。

    補足事項

    筆者はIllustrator開発者ではないので確実な事は言えないが、新規ファイルにペーストした場合、古いファイルにあるエラーのような断片的なデータはコピーされないのではないかと予想している。(バイナリを見て検証した訳ではない)

    古い形式のコードをペースト時に新しいコードへ置換するか最適化されている可能性もある。もちろん全てのコードが最新版になるわけではない。例えば矩形などはプロパティ画面で表示される項目に違いがある。古いバージョンで作られた矩形を新バージョンにしても回転角度などは出てこない場合が多い。これは互換性に関わるものなので、全てが新しいオブジェクト形式に置き換わる訳ではない。

    この方法にてバージョンアップした場合は【別名で保存】からバージョンアップしたファイルより安定する事が多い。別名で保存はもしかするとただただ新しいバージョンで保存したことをヘッダーに記載しているだけかもしれない。
    「ペースト」という動作をすることで、オブジェクトを作図したこととなり余計なデータは削除されるのだろう。別名で保存の場合、エラーが出ている部分もそのまま保存しているように思う。

    データというものは段々と壊れていくもので、詳しく書くと長すぎるため割愛するが絶対に壊れないということはない。PCを使っていると使用していないファイルでもハードディスク上にある限り必ず影響を受けるからだ。古いファイルほど壊れやすいのはこのためで、長年ハードディスクにある事で様々な影響を受けてデータが壊れていく。

    もし、ファイルの動作が不安定と感じたら、この記事の方法でデータをリフレッシュするのも悪い選択ではない。もちろん、バージョンを新しくすることで文字組みが崩れるなどの弊害はでるが、それはファイルのバージョンアップしなくとも最新版のIllustratorを使うなら同じ事なので必要な作業だ。

    ファイルが壊れかけの場合、最新版のIllustratorでなくとも、同バージョンのIllustrator上でコピーペーストするだけでファイルが安定する事が多い。絶対ではないがやっておくに越したことはないだろう。壊れて開けなくなってしまったらどうしようもない。

    もし可能なら、Adobeクラウドドキュメントを使用することもオススメする。ローカル環境とは少し違って少しの制約もあるがファイル管理も安定感も高いだろう。なにより古いバージョンというのを気にしなくてよい。詳しくは別の記事にしてあるので興味ある人はご一読を。

  • 【Illustrator】乗算などで混ざった部分の色情報を取得する方法

    【Illustrator】乗算などで混ざった部分の色情報を取得する方法

    Illustratorで乗算など不透明度を設定した際に、オブジェクトが重なって混ざった部分の色情報を取得する方法。制作物のカラーチップなど作る際に便利な小技。

    例はCMYKにて解説しているが、RGBなどでも同じ手順でOK。

    この方法はパスオブジェクト同士が重なっている場合のみ有効でパスと画像やドロップシャドーなどのスタイライズ部分(ラスター部分)には効果がありません。そのような場合にはPhotoshop等を活用して下さい。

    下の例では、M100(乗算)とC100のオブジェクトが重なり、真ん中の「?」部分の色を知りたいが、スポイトツールを使用しても、上にあるオブジェクトのM100の値しか拾わない。画像で青色の部分の色情報(CMYK)は?

    1:取得したい色が関わるオブジェクトを選択

    重なっているオブジェクトを選択する(上の例ではM100とC100のオブジェクトを選択)

    以下の作業は基のオブジェクトの形状や属性を変更するため、必要な部分をコピーペーストして別オブジェクトとして作業することをオススメする。

    2:上部メニューのオブジェクト→透明部分を分割・統合をクリック

    「ラスタライズとベクトルのバランス」をベクトル側【100】にする→【OK】ボタンを押す
    (他はデフォルト値のまま)

    3:オブジェクトの情報を確認(スポイトツールも使用可能)

    オブジェクトが色毎に分割されたので、スポイトツールなどでオブジェクトの色情報を確認する。
    (乗算の効果などは全て破棄される)

    最後にコーヒーはいかが?
    本文と少しだけ関係のある小ネタでちょっと一息。忙しい人は読まなくても大丈夫!

    「色」の指定はアバウトでもなんとかなる?大丈夫!

    印刷物でもデジタル作品でも同じことだが、あなたが超厳密な色管理が必要なプロジェクトに関わっていないのならば、わりとアバウトに考えていても大丈夫だ。難しく考えすぎてドツボにはまっている人を見かけるが泥試合で金と時間の無駄なので、それをもっと違う部分に使うほうが作品のクオリティは上がる。

    なんで?アバウトで大丈夫?という疑問にお答えすると「世の中に同じ色は1つも無い」と言えるからで、1つも無いなら多少のブレ幅なんて気にしていてもしょうがないからだ。
    例えばA君とB君が同じ赤いリンゴをスーパーの生鮮コーナーで見ていたとしよう。A君もB君も「赤」とは認識しているが、それが「少し濃く熟れた赤」なのか「鮮やかでおいしそうな赤」なのかは見る人によって違う。A君とB君が「全く同じ赤色」を認識することは無い。個々がイメージする色の感覚、身体的な特性(視力や身長など)、立ち位置の違いによる光の差など様々な要因が合わさって、人の目に映る色は同じ色が1つもないと断言しても良い。同じ赤でも違うのだからコンマ数%にまでこだわって色調整をしたり、高い機材を買ってカラーキャリブレーションをしたりと神経質になりすぎても意味はない(ある程度の水準は必要だが)

    また、機械的な差もある。PCモニターやスマートフォンなど機種によっても色が違うし、印刷所、印刷する材質、印刷したロットによっても色は変わるのである。もう制御のしようがないので、開き直って「ある程度アバウトでも大丈夫!どうせ同じ色なんてない!」と思ったほうが気楽というものだ。

    躍起になって同じ色を再現する事に時間と金をかけるよりは、あなたが「その色に持たせる意味」を深堀りする時間にあてるのがおすすめ。色の持つ印象はあまり変わらない。「赤は熱い」のである。その「熱い」をもっと的確に伝えるためにはどうしたら良いか?ということを考えて作品に盛り込めばぐっとクオリティは上がる。CMYK値が1%違ったからと言って大騒ぎするくらいなら「そのくらい違ってもノープロブレム!」と胸を張って言える作品は誰にとっても良いものだ。

    誰もあなたが思う1%の色の違いは分かりません。

    ただ、物事には例外があって唯一色に拘りまくるのが正解なのは「キャンバスに描く絵」だろう。紙などに書いた絵はそれだけで全て完結した物なので拘り抜いた色はそのままその絵の価値となる唯一無二の作品だからだ。

  • Illustratorのファイルを軽くする保存設定

    Illustratorのファイルを軽くする保存設定

    Illustratorのファイル保存、デフォルトの設定は安全ではあるけど最適ではない。会社やプロジェクトでファイルの保存規定がないのであれば、下記の設定が軽くて良いので試してほしい。ポイントは2つ。

    ※自分の制作環境に合わせて使用して下さい。

    ファイル保存の設定

    2つのチェックを外すだけ!

    ・PDF互換ファイルを作成
    ・ICCプロファイルを埋め込む

    ファイル保存のオプション画面

    覚えておきたいチェックを外した2つのオプションの役割

    チェックを外した2つの役割は?どんなときに必要?ということを覚えておくことをオススメ。必要なときにチェックを入れてファイルを保存できる知識があっても損はない。簡単に解説するので、詳しい事を知りたい人は各々で調べて欲しい。

    PDF互換ファイルを作成

    「別のバージョンに互換性があるPDF形式のデータをAiァイルの内部に作りますよ!」というオプション。

    Illustratorの別バージョン、別環境でもファイルを開いて編集可能なPDF形式のデータをAiファイル内に埋め込み利便性を向上させるための機能。Aiファイルの中にPDFファイルが丸ごと埋め込まれている状態で、このオプションを外すことにより埋め込まれるPDFが無くなるためファイル容量が約30~40%ほど減る。ファイル容量が少ないので、ファイルの保存・ファイルを開くときの時間が短縮される。また、ファイルが軽いとPC内で起こる様々なデータの不具合リスクを軽減できるのでメリットは大きい。

    殆どの人は自分で編集保存をしチーム内でもイラレのバージョンは統一されている事だろう。したがってこの互換性PDFを埋め込むメリットはあまり無い。

    このオプションをONにするときは、全く別の環境が想定される人にファイルを渡すときや、長期保存するような場合だろう。どちらのケースでも極論を言えばあまり意味はないが全く開けなくなる可能性があるよりはリスクマージンは広く取っておける。

    オマケとして、PDFを埋め込むとファイルのサムネイルが表示可能になる。

    ICCプロファイルを埋め込む

    詳しくは個々で調べて欲しいのだが、簡単に言うと「色環境の設定をAiファイルに埋め込むね!」というオプション。

    実は殆どの人に必要がない。逆にこれが基で問題が起こる事もある。多くの印刷所でもこのオプションのチェックを外して入稿するような指示があるので外しておいて問題はない。

    最後にコーヒーはいかが?
    本文と少しだけ関係のある小ネタでちょっと一息。忙しい人は読まなくても大丈夫!

    アプリケーションのバージョンアップと下位互換は付いて回る問題。これをしとけば絶対安心なんて事もなく、古いファイルはいずれ使い物にならなくなるということは常に意識しておくのがオススメ。

    そもそも使えないかもしれない古いファイルを引っ張り出して利活用しようとすること自体がとても危ういことだ。消費期限を大幅に過ぎた食材で調理するほど危険な事はない。想像するだけでお腹が痛くなりそう。問題しかない。

    データも同じで古いファイルは何かと問題が出る確立が高い。ファイルが開けないほどではないが内部に少しのエラーが時限爆弾のようにあって、作業中にいつ爆発するかわからない状態であることが多い。「ついさっきまで開けたのに!」という経験をした人も少なくないだろう。あれは何らかの原因で内包していたエラーが起因となりデータが壊れた状態になったのだ。古い傷口が開いて大怪我につながったと言い換えても良い。

    常に使うようなデータ、利活用が予定されているデータは常に新しいバージョンに対応させ最新版として更新していく事が望ましい。自分用のテンプレートを作っても良いだろう。

    また、客先などからとても古いデータを提供される事もあるだろう。この場合はしっかりと「データが古すぎて使い物にならない可能性がある。作り直しもありうる」という説明をしたほうが結果的に良い関係を築ける事に繋がるだろう。筆者はあまりにも酷い状態のデータを提供されたときは、追加料金をもらうか突き返している。無理矢理使ってもろくなことがなくお互いに良い事はないからだ。

  • Illustratorで特色が混在したデータをプロセスカラー(CMYK)に一括変換

    Illustratorで特色が混在したデータをプロセスカラー(CMYK)に一括変換

    Illustratorにて、1つのファイルに特色(スポットカラー)とプロセスカラー(CMYK)が混在したデータをプロセスカラーのみに(特色は全てCMYK値)一括変換する方法。

    1つのデータ内に特色とプロセスカラーが混在

    1:オブジェクトを全選択

    データ内のオブジェクトを全選択するか、変換したいオブジェクトのみを選択する。

    オブジェクト全選択のショートカット
    Windows:Ctrl + A
    Mac:⌘+A

    2:編集→カラーを編集→CMYKに変換

    上部メニューから編集→カラーを編集→CMYKに変換を選択する。

    ドキュメントのカラーモードがRGBの場合、CMYKの選択は不可。

    3:完了

    特色は全てプロセスカラー(CMYK)へ変換された。

    特色が100%以外でも近似色のCMYKへと変換される。

    小数点以下の端数を四捨五入して整数へするのがオススメ。データの利活用時に便利。カラー値を四捨五入して丸めるスクリプトも多くあるので活用しよう。

    最後にコーヒーはいかが?
    本文と少しだけ関係のある小ネタでちょっと一息。忙しい人は読まなくても大丈夫!

    特色って何?
    読んで字の如く「特別な色」「特殊な色」のこと。印刷はCMYK4色のインクを混ぜて色を再現するが混ぜ合わせるだけでは再現できない色がある。混ぜれば混ぜるほどに濁るのは絵の具と同じだ。綺麗な発色が欲しい場合、金色銀色・蛍光色などが必要な場合に特別に調合した色を「特色」と呼ぶ。

    印刷機の高性能化、インクの高品質化は日々上がっており一昔前に比べCMYKの混合だけでもかなり良い色が出るようになった。特色を指定しての印刷も少なくなってきている。将来的には「特色」という指定方法が無くなるかもしれない。インクの調合という仕事は無くならないと思うが、特別な指定をせずともプロセスカラーの指定だけで大丈夫なほどになるかも。その頃にはCMYKという数値も使われていない気もする。

    そんな日が来たら、デザイナーとしては少し楽になるかも。

  • Illustratorが重たい、落ちる場合の対処方法

    Illustratorが重たい、落ちる場合の対処方法

    前提:イラレは落ちるもの

    どんなに高スペックなPCでもイラレは落ちる。完全な対策は無理だ。

    絶対に落ちない方法はないが「落ちにくい対処」を意識することでダメージはとても低くなり、結果的に作業効率が上がる事となる。

    ※記事作成時点のIllustrator最新バージョン(2021)にて解説

    こまめに手動保存

    30分~1時間に1回はファイルを保存する。一番効果的で確実な方法だ。後述する「復帰データの自動保存」はあまり当てにせず手動での保存がオススメ。

    Illustratorは連続起動している時間が長ければ長いほどキャッシュが溜まって重たくなる。保存とは別に2~3時間に1回はIllustratorの再起動をすると安全性が増す。休憩時にIllustratorを再起動するのがタイミングとして最良。

    また、大きな変更などをする前などは必ず保存する癖を付けよう。大掛かりな作業はそれだけで重たい処理の場合が多い。パソコンに負担がかかればそれだけIllustratorが落ちる可能性が高くなる。

    保存(上書き)のキーボードショートカット
    Windows:Ctrl + S
    Mac:⌘+S

    別名で保存のキーボードショートカット
    Windows:Ctrl + Shift + S
    Mac:⌘+shift+S

    仮想記憶ディスクの設定

    メインメモリが不足した際に、物理ドライブを仮想化してメモリ代わりに使う機能。パソコン内で一番早いスピードの物理ドライブをプライマリに設定しておく。複数のドライブがある際はセカンダリにプライマリとは別のドライブを指定する。

    一昔前の情報だと「プライマリはIllustratorがインストールされていないドライブを指定する」のが主流だったがハードディスクの性能が上がり仕様も変わったため、現在では一番高速なドライブをプライマリに指定するのが望ましい。

    仮想記憶ディスクの設定場所
    編集→環境設定→プラグインと仮想記憶ディスク
    ディスク1(プライマリ)
    ディスク2(セカンダリ)
    ※設定後にIllustator再起動で反映される

    設定例(CドライブはIllustratorをインストールしたドライブ)

    復帰データの自動保存間隔を調整(ローカル/クラウド)

    Illustratorには何らかの原因でアプリが落ちた場合の助け舟としてデータのバックアップ機能がある。自動的にバックアップ用のファイルが保存されているのだが、残念なことに信頼性が低く、自動保存が裏で動いている最中はアプリが重たくなる。タイミング悪くこの時に重たい処理が重なるとイラレが落ちるときがあり本末転倒だ。

    「複雑なドキュメントではデータの復元を向こうにする」という設定すらある。複雑で重たいデータほどバックアップは重要なはずだが「Illustratorでは保証しませんよ!」と言っている事になる。はっきり言って筆者はこの機能があって良かった実感したことは1度もない。

    自動保存の間隔を長くするか、機能をOFFにすることが望ましい。

    復帰データの設定方法
    編集→環境設定→ファイル管理・クリップボード
    復帰データを次の間隔で自動保存:チェックを外すか【1時間】に設定
    複雑なドキュメントではデータの復元を無効にする:チェックを入れる
    クラウドドキュメントを次の間隔で自動保存:チェックを外す
    ※間隔時間はそれぞれ任意で指定して下さい。30分以上がオススメです。

    復帰データの設定例

    アニメーションズーム、リアルタイムの描画の設定を変える

    拡大縮小とオブジェクト移動時の描画方法を変更することによって処理が軽くなる。ただし作業者の好みや状況によって使い分けると良いので、作業中に重たいと感じたら設定を変更すると良い。

    基本的にはアニメーションズームとリアルタイム描画と編集はOFFにすると軽くなる。

    アニメーションズームとリアルタイムの描画の設定方法
    編集→環境設定→パフォーマンス
    アニメーションズーム:チェックを外す
    リアルタイムの描画と編集:チェックを外す

    アニメーションズームとリアルタイム描画の設定例

    レイヤーのサムネールを非表示にする

    レイヤー名の左側にあるサムネールを非表示にすると動作が軽くなる。非表示でもあまり不便ではないので処理が軽くなるメリットを優先させたほうが良い。サムネールの非表示はかなり効果的。

    レイヤーサムネール非表示の設定方法
    レイヤーパネルメニュー→パネルオプション
    サムネール欄の
    レイヤー、グループ、オブジェクト:チェックを外す
    ※行のサイズを「小」にしてもサムネールは非表示になる

    レイヤーサムネールの非表示設定例

    サブレイヤーを使わない

    イラレのサブレイヤーは挙動が不安定であり、様々な場面で微妙な動作をする厄介者。現在はグループ編集など使いやすい編集機能があるので、サブレイヤーは使わずにレイヤー分けとグループ化、アートボード毎でオブジェクトの管理をすることがよい。

    レイヤーを展開してサブレイヤーを表示させるだけでイラレが落ちる場合もある。おそらく何らかのバグだろうがAdobeはこういった小さなバグを直すことはあまりないので上手に付き合っていくしかない。サブレイヤーは使わない作業方法を身につけよう。

    古いデータは最新バージョンに変換する

    常に最新バージョンのデータで作業するのは難しいが、例えばCS6以前のバージョンで作られているデータを使う場合は、最新バージョンのデータに変換してからの方が安定することが多い。

    古いデータは何かと壊れている場合がある。ファイルは問題なく開けるが、内部データの一部が破損欠損していたり最新バージョンと合わなく不具合が生じるときもある。ある日突然ファイルが開かなくなる経験を何度もした。前回作業していたファイルが開けなくなったということは良くある。

    バージョンを上げることで文字組み等が崩れたりと不具合が生じることもあるため、必ずバックアップを取ってから慎重に作業をして下さい。

    バージョンを変換する2つのパターン
    パターン1:変換したいバージョンのイラレでファイルを開く→別名で保存
    ※内部的に不具合が生じていても、そのまま不具合ごと保存される場合が多い。保存のバージョンだけを挙げている印象。
    可能ならパターン2をオススメしている。

    パターン2
    変換したいバージョンのイラレで新規作成して、まっさらなアートボードを作る

    変換したいオブジェクトをコピー・ペースト

    別名で保存
    ※この方法で不具合等も解消される場合が多い。ペースト時にオブジェクトが最適化されていたり、古く余分なデータは削除されているようだ(検証はしていないので確定情報ではない)
    データの挙動が安定することが多いため、新しいバージョンにする際はこちらの方法をオススメしている。

    その他のイラレが重たくなる処理

    • 文字数が多い
    • 不必要に大きいサイズの画像
    • 画像が多い
    • 読み込むフォントが多すぎる
    • コントロールポイントが多い
    • ドロップシャドウなどスタイライズ系処理が多い
    • 複雑すぎるクリッピングマスク
    • 過度に多い透過処理(乗算など)
    • オーバープリントプレビュー

    他にもいろいろあるが代表的な例を挙げた。回避できない事も多々あるが、覚えておくと重たい原因の特定に役立つ。コントロールポイントが多い場合は単純化などを試してみるのも良いし、無駄に大きいサイズの画像ならトリミングやサイズの縮小も有効な手段だ。

    文字数が多い、エリア内文字の連結が多い場合などは極端に重くなる事がある。冊子などの他ページ物を作るにはIllustratorは不向きなのでInDesignの使用なども検討しよう。

    操作と操作の間に一呼吸を

    イラレが落ちる原因の1つに処理のオーバーフローが挙げられる。

    続けていくつもの処理を素早く実行してしまうと、イラレが作業者のスピードについていけず、1つの処理を完了する前に次の命令が来るため未処理の命令が増えすぎて落ちてしまうのだ。イラレがギブアップしてしまうのである。熟練の作業者によくあることだ。

    操作と操作の間、ほんの数瞬で良いので一呼吸を置いて次の操作に移るようにするとイラレが落ちる事は極端に減る。また、処理中のアイコンが出ている場合は何もせず大人しく待っているのがベスト。

    パソコンのスペックアップも検討しよう

    常に動作が重たいのならパソコンの買い替えを検討しよう。アプリが要求するスペックに足りていない可能性がある。

    Illustratorに限らずグラフィック系アプリを快適に動作させるスペックは年々上がっていき留まる事はない。TV、ネット、紙媒体などどのメディアでも高画質化が進みコンテンツを作る素材も高画質化されている。高画質の素材データを使うにはスペックの高いパソコンが必要となるので、現状で動作が重たいと感じるならば時代に合っていないパソコンスペックという事が言える。

    また、新しい技術も進歩して古いパソコンではそもそも動かない場合もあるので自分の環境に合わせてパソコンを買い換えよう。

    Adobeは各アプリの必要構成を発表しているので、スペックアップの参考に。

    https://helpx.adobe.com/jp/creative-cloud/system-requirements.html

    また、パソコンの状態を見直すことで改善される可能性もあるので、下記の公式サイトにある説明を参考にしてみよう。

    https://helpx.adobe.com/jp/illustrator/kb/optimize-illustrator-performance-windows.html

    https://helpx.adobe.com/jp/illustrator/kb/optimize-illustrator-performance-mac-os.html

    最後にコーヒーはいかが?
    本文と少しだけ関係のある小ネタでちょっと一息。忙しい人は読まなくても大丈夫!

    Illustratorというアプリケーションはとても歴史が長く、初代は1986年にリリースされている。執筆時点の2021年でリリースから35年という月日が経っている。長いね。人によっては産まれる前かもしれない。

    ベクター系のアプリは様々にあるが新しいアプリほど動作は軽快な傾向にある。これには理由があり、新しいソフトは最新のシステムとロジックに最適化されており下位互換性はほぼ関係ない。つまり余分な処理を必要としないシンプルな構造で作れるため動作も軽快ということ。「1+1=2」という計算は「35×365÷2021」より単純で早いということだ。新しいアプリだって35年経てば今のイラレと同様に重たくなっているだろう。

    Illustratorを引き合いに出して動作が軽い!と謳っているのは間違いではないが、少し違和感を感じてしまう。早くて当たり前、なんのしがらみもないのだから、そこを自慢されるより他に特徴を示してくれたほうが使う気になりやすいのに勿体ない。アプローチは適切に。

    Illustratorも年々動作が軽くなってきてはいるが、この長い歴史の重みで軽快に動作できない部分が出てきてしまうのはAdobeの開発者の方々にとって歯がゆい点だろうと思う。そう「下位互換」というしがらみがあるからだ。35年も前に今とは全く違うシステムやロジックで構築されたものを軽快に不具合なく動作させるということがいかに困難かは想像に難くない。むしろよく互換性を保っていると思う。試したことは無いが初代Illustratorで作られたパスデータは最新版でも開けるのではないだろうか?

    長年のバージョンアップで機能を追加し続けた歴史の多くを動かすために、現状のロジックでは合わない事を半ば無理矢理動作させている部分もあるだろう。そんな事を裏側でしているのだから新しいアプリケーションより重たくて当たり前。むしろ、それだけやっているのに軽快な操作感を出してくれているのは讃匠すべき点だ。たぶんだが、Adobeの開発者達が下位互換を考慮しなければとても軽快なIllustratorが誕生することだろう。

    Illustratorが重たい原因は下位互換だけではないが、長い歴史に裏打ちされた実績はこれからも使い続けれるという安心感が得れるポイントの1つであり、この背景を知っていれば少しくらい起動が遅くたって許容できるというものである。

    そう、この短い文章を読み終わる頃にはIllustratorも起動できているでしょう?